子どもだましじゃありません。好奇心をくすぐるカメラ「Bigshot」:郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)
コロンビア大学の教授が子どもたちのために作ったというカメラ「Bigshot」。組み立て式だったり、スケルトン構造になったりしている独特のカメラを作った意図はどこにあるのだろうか。
世界中の子どもたちの真ん中に
このカメラの意義は、情報を教えることだけにあるのではない。みんなでパーツを組み立てていると、コミュニケーションが生まれる。ニューヨーク、ベトナム、そしてインドで行ったフィールドテストでは、6歳から15歳までの子どもたちが参加。手とドライバーだけでカメラを組み立てられるので、科学系に進む比率が低い女の子にも作れる。
午前に組み立てて、午後に撮影。みんな目が輝いている。実は今回、教授が来日した目的は、東京の子どもたちを対象としたBigshotのフィールドテスト。東京の子どもたちの目も輝いただろうか? ちょっと心配ではあるが、撮影した写真をWeb上にアップすれば、インドもベトナムもニューヨークも東京も共通体験で1つになれるだろう。Webサイトにアップされた子どもたちの撮影写真、どれも“Bigshot(ぐっとくる1枚)”なのだ。
「私がやりたいのは教育。カメラはスタートポイントにすぎない」
教授は「Create(創り)」「Learn(学び)」「Express(表現する)」という3つのコンセプトを示した。その真ん中にBigshotがある。
好奇心を育てるファインダー
大人は記録のために写真を撮るが、子どもは自分が新鮮だと感じたことを撮る。写すことで、自分が何に興味を持つかを知る。子どもは未来を撮る。Bigshotは“好奇心を育てるファインダー”なのである。
さて、今日はクリスマスイブ。このBigshotを子どもたちに届けたいけれど、今はまだ試作品。1台3000ドル(27万円)もする。何とか100ドル(9000円)くらいに下げて広めるのが教授の夢だ。私も同感。
そこで、大人に事業開発の夢をプレゼントしよう。「Bigshotを作ろう!」と思う好奇心のある会社、筆者にご連絡ください。来年のイブまでに実現しませんか。
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