家庭用太陽光発電、何年でモトがとれる?(3/3 ページ)
太陽光発電を中心とする再生可能エネルギーに注目が集まる日本。もっとも家庭用太陽光パネルは設置後10年、20年と長い付き合いになり、導入費用も100万円以上になる。果たしてこの初期費用、何年くらいで「モトがとれる」のか。
太陽光発電システム導入で間違わないために
冒頭でも書いたが、太陽光発電システムを導入するには100万円以上の導入費用が発生する。また、一度導入すると太陽光パネルはひんぱんに取り換えるものでもない。10年、20年といった単位で付き合うことになる太陽光発電システムの導入で失敗しないためにはどうすればいいのか。
「1つは、実発電量が多く、初期費用が安いシステムを購入することです」と菱田社長はいう。実発電量の計測データは琉球てぃーだ以外にもSBエナジーなどでも公開している。また、選定時には「10年保証」や「15年保証」といったメーカーによる長期保証の有無にも目を配りたい。
菱田社長は、「もう1つ、複数の施工業者から見積もりをとることが重要です」と強調する。太陽光パネルは屋根の形、面積、方角、角度によって組み方や設置方法が異なるため、業者のノウハウの有無がその後の発電量を左右する。提案書で分からないことや懸念点があればどんどん質問し、それに対して理解しやすく丁寧に説明できる業者を選びたい。
この10年で大きく性能を上げてきた太陽光パネルだが、今後の動向はどうだろうか。菱田社長は「これからも性能は上がっていくでしょうし、価格は下がっていくでしょう。でも、だからといって導入を先延ばしにすることが『お得』かといえば、決してそんなことはありません」と指摘する。
その理由は、買取価格と補助金の有無だ。余剰電力の買取価格は10年間据え置きで42円と書いたが、これはあくまでも2013年3月までに設置した人を対象にする「平成24年度」のもの。以前の買取価格は48円だったこともあり、今後も買取価格が下がっていく可能性がある。また、導入時の補助金もいつまで続くか分からない。現在は1キロワット当たりの補助金単価は最大3.5万円となっているが、これも応募締切は2013年3月29日まで。
メーカー名 | 設置パネル(キロワット) | 実発電量(キロワット時) | パネル価格 | 初期費用想定回収期間 |
---|---|---|---|---|
ソーラーフロンティア | 2.88 | 345.09 | 158万4000円 | 9.1年 |
シャープ | 2.66 | 280.09 | 146万3000円 | 10.3年 |
三菱電機 | 2.80 | 300.50 | 154万円 | 10.2年 |
Qセルズ | 2.88 | 307.90 | 158万4000円 | 10.2年 |
琉球てぃーだの試算によれば、現在の補助金と余剰電力の買取価格で初期費用の回収までにかかる期間は、ソーラーフロンティアが9.1年、三菱電機とQセルズが10.2年、シャープが10.3年だという。今、太陽光発電システムを導入すれば、およそ10年でモトがとれるのだ。
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