なぜメジャーリーガーは「クスリ」がやめられないのか?:臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(4/4 ページ)
メジャーリーグに再びドーピング疑惑が起きている。Aロッドら主力級の選手が禁止薬物の提供を受けていたというのだ。彼らはなぜ「クスリ」に手を出してしまうのか?
NO TURNING BACK(後戻りは許されない)
ハリソン氏の指摘には賛否両論あるようだが、いずれにしても他のプロスポーツ界に携わる関係者の目には今も続く「メジャーリーガーとクスリ」の関係がかなり異様に映っているのは間違いない。ドーピング問題は非常にデリケートなものだけにMLBにとっては、とても厄介だ。とはいえ「マイアミ・ショック」のぼっ発で米球界には、これまで玉虫色の決着で蓋をしていた過去の薬物使用問題とも再び向き合わなければならなくなりそうな空気が漂ってきている。
「NO TURNING BACK(後戻りは許されない)」――これは、コミッショナーのバド・セリグ氏が常々口にしているMLBの組織スローガンだ。ストライキ明けの1995年に約14億ドルだったMLB全体の総収入は年々伸び続け、2012年には約75億ドルにまで達している。20年弱で総収入を5倍以上に膨らませた「超優良企業」は右肩上がりを継続させるためにも、薬物問題の再燃によるイメージダウンだけは是が非でも避けたいところ。
MLB内部の強硬派からは今回の「マイアミ・ショック」を機に「『3ストライクルール』を見直し、今後は1回の禁止薬物使用で永久追放にするべき」「罰則が適用される前の薬物使用が認められた元選手たちの記録は『参考記録』にしてもいいのではないか」といった意見も出ており、セリグ氏も耳を傾けつつあるという。
1998年の現職就任以来、セリグ氏はMLBの急成長をけん引。その功績が評価されて2006年にはスポーツビジネス・ジャーナル誌とスポーツビジネス・デーリー紙が選出する「最優秀エグゼクティブ賞」も贈られた。海の向こうではメジャーリーグのファンのみならず企業家や組織のリーダーたちからも、敏腕コミッショナーが今度こそ下すであろう「薬物根絶プラン」に注目が集まっている。
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