投資一辺倒の中国経済は砂上の楼閣:藤田正美の時事日想(3/3 ページ)
世界経済をリードしてきたBRICsの先行きが怪しい。特に中国の場合、GDPの半数以上を投資が占めており、限界に突き当たり始めている。中国経済が破たんしたとき、日本経済も無傷ではいられない。
中国進出企業以外の日本企業にも痛手
そうなったら中国に進出している日本企業が大打撃を受けるのは当然だが、日本にいる企業も深手を負うことになる。現在、日中の貿易総額は30兆円を超えるほど。日本の総貿易額は130兆円を超えるくらいだから、ざっと4分の1は中国関連ということになる。そこの経済が大打撃を受けて成長率が急減すれば、日本から出て行く資本財などが激減しかねないからだ。
もちろん中国の影響力が大きいASEAN各国の成長率にも響くだろう。日本は、中国への対抗という意味もあってASEANとの関係を深めつつある。ASEANがアジアの成長センターになるということは、世界の金融機関が認めていることだ。その意味では日本が接近するのは悪くはないが、ASEAN諸国が「中国ショック」に巻き込まれたりすると、けっこうややこしいことになる可能性もある。
中国経済が暗礁に乗り上げたときに気になることが3つある。最近頻発しているとされる「騒乱事件」が社会問題に発展しかねないこと。2つ目は学生が就職できないというような事態が長く続くと、これまで順調に発展してきた沿海地域でも社会不安となりかねないということ。そして内部に問題を抱えた政府が、外部の問題に国民の耳目を引きつけるというようなことをやらないかどうかということだ。
尖閣問題で中国政府が手を緩める姿勢をまったく見せないのは、国民の耳目を集めておくという意味で正解なのかもしれない。しかしそれが正解であれ、不正解であれ、北京政府が現状の深刻度をどれほど理解しているか。いちばん分からないのはそこだ。そこが分からないと、いざというときには、日本は不意打ちを食らうことになる。安倍首相にとっては、どうしようもないリスクということになるだろうか。
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