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日本はまだまだ甘い! 世界のブラック企業の現実:伊吹太歩の時事日想(3/3 ページ)
世界では仕事が原因で15秒に1人の割合で死者が発生する。日本のブラック企業なんて世界基準では生ぬるいのではないか? リスクがない仕事なんてはじめからないのだ。
日本のような先進国はかなり恵まれている
そもそもカネを稼ぐことを「目的」に働くという行為は、世界中どこに行っても大変なことなのだ。生き生きと見える社長であっても、会社を成長させる「目的」のために神経をすり減らし、寝る間を惜しんで事業を行っている人が多い。途上国の過酷な環境下で農業に従事する人も、生活のため、家族を食わせる「目的」のために必死で働いている。
もちろん日本で会社のために一心不乱に働いたため、病気になったり、燃え尽きてしまう人がいるのは分かる。自殺してしまう人もいるだろう。「気持ち次第だ」なんて精神論をぶつつもりもない。
ただ日本のような先進国はかなり恵まれている。まず選択肢がある。その仕事を辞めることも、少し我慢して転職の準備をすることもできる。やりたい仕事をする「目的」のために、過酷な今を我慢しているビジネスパーソンもいる。だが、さすがに24時間365日、社員を監禁または軟禁して働かせる企業はない。
日本に限らず、楽にカネを稼げるなんていい話はあまりない。基本的に働かなければ生活はできないし、リスクがない仕事なんてはじめからないと思っておくしかない。そんなことにいらつくよりも、「目的」を見直したほうが建設的ではないか。
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