インタビュー
「メイド・イン・ジャパン」の縫製工場が消えてしまう前にできることがある――ファクトリエの挑戦:これからの働き方、新時代のリーダー(3/3 ページ)
アパレル品の国産比率は5%以下に落ち込んでいる。海外工場との価格競争、職人の高齢化……。「このままでは日本の高い技術が失われてしまう」と立ち上がった若者がいる。
ITの力で工場が適正な「もうけ」を出せる世の中に
岡田: ファクトリエの場合、ECサイトですから実店舗を構えるための人件費や維持費も圧縮できますね。そして、工場の取り分も大きくなっている。メイド・イン・ジャパンな工場に、何か変化は出てきましたか?
山田: HITOYOSHIの場合、2009年に潰れかけたわけです。でも、2013年に高卒の女の子が2人、新卒で入社しました。それまでリストラしかしてこなかった工場にしてみれば、新卒採用ができるなんて何年ぶりの話だろう、と。
それにはまず、工場がもうからないと。まだまだ返済すべき借金はありますが、事業を継続するための適正なもうけを確保してもらいたい。今後、ファクトリエでは工場の売り上げの5%程度を、工場環境の改善のための費用として還元したいと考えています。実際に工場に足を運んでいますが、トイレが和式だったり、休憩所が寒かったりと、手を付けるべき場所はたくさんあるのです。
ファクトリエのブランドコンセプトとして、「メイド・イン・ジャパンを守り、世界に発信し、消費者に正しい価値価格を提供する」というものを掲げていますが、工場を守るというよりは、彼らに力を蓄え直してもらえればいいなと思っています。(中編に続く)
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