すべてを前向きに捉える:東大生はなぜ会社で使えないのか?(2/2 ページ)
若くして活躍している管理職の多くが、物事を楽観的に捉えています。失敗しても、その結果をポジティブに捉えて次に生かす。彼らは、もともとポジティブな性格ではありません。仕事をするなかで、後天的に楽観性を身につけているのです。
失敗を成長の糧に!
失敗はすべて成長の機会と捉えることができれば、プラスの方向に行くことができます。
例えば管理職を任されていて、複数の部下がクレームを受けたとします。どのような考え方をすればいいでしょうか?
「大変な状況だ」と考えるのと同時に、「自分が部下をもっと配慮できていれば、そもそも問題が生じなかったはず。まだまだ自分には改善の余地がある」と捉えるべきです。
つまり、失敗を成長の機会と解釈し、次に同じような失敗が起こらないような形を探していくのです。それが後天的楽観性。そういった仕事の仕方ができれば、同じ失敗を繰り返さないし、失敗の後のリカバリーも速くなります。だから、次の成功に当たる確率も高くなる。
「切り替えろと言われても、そう簡単に切り替えられない」
そんな話をよく聞きます。そういう人は、こう考えてください。
人生には1つの会社、1つの仕事と細かい区切りがありますが、人のビジネスキャリアは1本の道としてずっと続いていきます。長い時間軸で考えると、1つの仕事で犯した失敗なんて、後の糧になるものにすぎない。
一般的に、ビジネスキャリアは40年もあります。失敗したことで、それまで自分が気付けなかったことが明確になったとすれば、大きな収穫だと思います。
若いうちの失敗はプラスに!
正直に言うと、ビジネスにはそういった捉え方をできない大失敗もあります。ただ、社会人5年未満の人にそういう大仕事は任されません。長い時間軸で捉えれば、若いうちの失敗はプラスにしかならない。
若い管理職が後天的楽観性を備えているという話をしましたが、経営層になるとショックを引きずる時間は1日にもなりません。たった5分で「ああ、損した! こういうことも考慮にいれなければいけない」と、次に向けて切り替えます。
経営者には楽観的に見える人が多くいますが、その理由をもう一歩踏み込んで考える必要があります。なぜなら、生まれつきポジティブな人ばかりではないからです。
経営の仕事では、「景気がいきなり変わって予想外の事態が起きた」「取引先が潰れて被害を受けた」「期待していた社員にやめられた」など、マイナスの側面が非常に多くあります。だから、いちいちへこんでいたら、社長は精神的にもちません。
切り替えるスキルを身につけた人でなければ、生きていけないのが経営の世界です。
今回のポイント
長い時間軸で失敗を解釈し、次の成功につなげることが重要
(次回は「短い時間で終わらせれば評価は高くなる」について)
著者プロフィール:
関厳(せき・いわお)
株式会社リブ・コンサルティング 代表取締役/国際公認経営コンサルティング協議会認定/マスター・マネジメント・コンサルタント。
2002年、東京大学教育学部卒業後、大手経営コンサルティング会社に入社。トップマネージャー賞をはじめ、数多くの社内賞を獲得し、史上最年少で取締役に就任。その後、専務取締役に就任し、コンサルティング部門の責任者として活躍。
2012年、同社を退職し、株式会社リブ・コンサルティングを設立。「“100年後の世界を良くする会社”を増やす」を理念に掲げ、トップコンサルタントとして幅広い業界のコンサルティング支援に携わる。
【著書】
『東大生はなぜ会社で使えないのか?』(中経出版)
Twitterアカウント:@Iwao14。
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