少女300人を誘拐したボコ・ハラムが恐れる「死の呪い」:伊吹太歩の時事日想(4/4 ページ)
ナイジェリアでテロ行為を繰り返す組織「ボコ・ハラム」。300人以上の少女を誘拐し、約1万2000人を殺害してきた彼らだが、ここ数日で事件解決に向かうかもしれない、ある“異変”が起きているという。
ボコ・ハラムが恐れる“死の呪い”
最近、これ以外にもボコ・ハラム絡みで注目のニュースが報じられている。エドキアの「処女を捧げる」発言の影響ではないと思われるが、ここ最近「奇妙な」出来事が発生しているという。残虐なボコ・ハラムの戦闘員たちが「呪い」に恐れをなして、拠点となっている森から次々と逃げ出しているというのだ。
発端は6月25日に、森を抜け出して町中で潜伏しているボコ・ハラム戦闘員が逮捕されたことだったが、この戦闘員らは、なんと「森の中の“亡霊”の呪いを恐れて逃げてきた」と主張しているのだ。ちょっと笑ってしまうような話だが、捕まるリスクを冒してまで逃げてきた彼らは、真剣そのものだ。実際に、多くの戦闘員が同じ理由で逃げてきたところを当局に逮捕または殺害されているという。
彼らの1人は当局に「森の中に今、あまりにも多くの蛇と蜂が現れ、メンバーのほとんどが森から逃げた。彼ら(蛇と蜂)は人を噛んだら姿を消し、噛まれた者は24時間も待たずに死に至る」と話したという。「われわれのこれまでの殺害行為により苦しんで悲観に暮れた人々や、私たちが殺してきた人々が、蛇や蜂などに憑依している」
リーダーたちもそそくさとカメルーンに逃げてしまったという。彼らにしてみれば、人気歌手の処女をどうこう言っている場合ではなかったようだ。「リーダーたちは、敵や苦悶する人たちが魔術で呪いをかけているのだ、と私たちに告げた……こんな(蛇や蜂の)攻撃はこれまで一度たりとも経験したことがない」と、別の戦闘員は語っている。
もしかしたら、リーダーらは戦闘員を動機付ける意味合いでそう言った可能性もあるが、毒蛇や蜂が本当に大量発生したなら、また話は違ってくる。「チボクの人々が私たちを追いつめるために“JUJU”(魔術)を使ったに違いない」とも、この戦闘員は語ったという。
逃げてきた戦闘員らは、今後自分たちの隠れ家だった場所も教えると言っている。ただ少女たちが隣国などに売り飛ばされてしまっていたら、彼女らすべてを見つけ出すのは困難だろう。ただ、ある戦闘員は「少女たちの姿は見ていないが、彼女たちの話は聞いている」と語っており、新事実が判明する可能性もある。もしかしたら「死の呪い」が少女たちを救うきっかけになるかもしれない。
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