“パート収入103万円”が「壁になる人」と「ならない人」:マネーの達人(2/2 ページ)
103万円の壁を意識して「扶養を外れると損をする」と信じている人も少なくありません。しかし、実際は103万円は壁にはならず、103万円を超えて働くことで世帯収入が増える場合もあります。
103万円が“壁になる人”
夫の合計所得が1000万円(年収約1231万円)を超えると、配偶者特別控除が受けられません。妻の収入が103万円を超えた段階で、夫の課税所得が38万円増加することになります。また税率も高いので、所得税の増加額が大きくなります。
夫の年収が2000万円程度(所得税率40%)になると、妻の収入が120万円でも世帯手取りは、100万円の時に比べてマイナスとなります。103万円が壁になる人は表(2)のように夫の合計所得が1000万円を超える人です。表(1)のように配偶者特別控除が受けられる人は、103万円は壁にはなりません。
しかし、表(1)の場合でも103万円を超えると勤務先の家族手当がなくなる場合や、妻の収入の増加により保育料負担が増加する家庭では、103万円が壁になる可能性もあります。
かしこい働き方を選択する
消費税8%となり、月20万円を消費する家庭では、年間で7万2000円の増税となりました。A子さんの場合、103万円の壁にこだわらず110万円働けば、消費税分をA子さんの働きでカバーすることができるようになります。
「手取りが増えても稼いだ半分しかプラスにならないのは嫌だ」
「その程度のプラスなら子どもとの時間を大切にしたい」
そういう考え方も一理あると思います。また自身のキャリアプランを考慮して「手取りが減っても働きたい」という人もいると思います。大切なことは、断片的な情報をうのみにせず、正しい情報を得て自分らしい働き方や暮らし方を考え、選択することだと思います。(小谷晴美)
著者プロフィール:
小谷晴美
国立大阪教育大教育学部卒業。2006年、ファイナンシャルプランナー資格を取得。保険や金融商品の販売を目的としない独立系ファイナンシャルプランナーとして起業。「自分らしい暮らしと未来を守る家計づくりのお手伝い」をモットーに中立的な立場で個人相談やマネーセミナー等の講師を務める。
企業研修:世代別ライフプラン研修、定年前研修、金融機関向け提案力強化研修
講演・セミナー:消費者向けマネーセミナー、女性起業セミナー、学生向け金融教育
保有資格:CFP、中小企業診断士、住宅ローンアドバイザー
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