新世代の高速通信サービス、2011年以降はどうなる?──Mobile Asia Congress 2010リポート:「LTEとWiMAX 2が次世代の高速通信ネットワークを担う」(2/2 ページ)
ドコモが12月にLTEサービス「Xi」を開始。同時に、他国でも次世代モバイルデータ通信サービスの動きが慌しくなっている。香港で開催された通信業界イベント「Mobile Asia Congress 2010」より、各国の今後の高速通信サービスの導入動向を探った。
LTE端末、まずはデータ通信端末から──タブレット端末は2011~12年以降に登場か
2011年には世界各国でLTEサービスが始まる予定だが、どの国でもまずはデータ通信サービスから順次提供されていくことになる。
音声通話は、まずは既存のW-CDMA/CDMA2000(3G)網を使い、追ってLTE上でVoIPによるサービスに移行する予定だ。ひとまず2011年はデータ通信に特化した端末より出そろうことになる。ZTEのLTE端末ロードマップによると、2010~2011年はデータ通信端末のみをラインアップし、タブレット端末などは早くても2011年以降になる見込み。そして、LTE通信対応スマートフォンはその後になると予測されている。
LTEは2010年現在、下り最大数十~100Mbpsクラスの高速な通信速度だけはなく、通信の遅延の少なさも大きな特徴としている。この特徴により、従来は端末側で持っていた機能をサーバ側でリアルタイムに処理するような仕組みが取り入れられ、クラウド系のサービスもより快適に利用できるようになる。LTE時代の端末開発においても従来とは異なる思想で行えるようになることで、今までとは違ったタイプの製品が多数登場する可能性も高いと思われる。
さらに、基地局間の通信も従来より高速な通信に対応させる必要があるため、基地局と基地局を結ぶ地上インフラ部分の重要性もより高まってくる。基地局を早期に設置したり、へき地での設営を簡素化するため、マイクロ波を使って基地局同士をより高速な環境で結ぶ技術も開発されている。
Mobile Asia Congress 2010では、LTE基地局の開発も行うNECブースでこちらに関連する展示が盛んに行われており、この分野での日本の技術力の高さを強くアピールしていた。ブース説明員によると、NECのネットワークインフラは故障率の低さなど高品質であることはもちろん、今後クラウドサービスが普及していくことにより、コンピュータ/サーバビジネスにおいても長い経験と実績を持つ同社の強みを競合他社との大きな差別化ポイントとして顧客に大きくアピールしたいという。
山根康宏 :香港在住の携帯電話研究家。一企業の香港駐在員時代に海外携帯電話に興味を持ち、2003年に独立。アジアを中心とした海外の携帯電話市場の状況や海外から見た日本の携帯電話市場についてなど、海外の視点からコラムや記事を日本のメディアに執筆するほか、コンサルティング活動も行う。携帯コレクターとしても知られ、2008年は100台以上携帯電話を購入。所有する海外端末数は600台以上(2009年3月時点)。
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