イー・モバイルが復旧対応を公表――通話規制を実施せず、ほぼ100%つながる
イー・アクセスが同社イー・モバイルサービスにおける震災対応を公表した。震災直後も通信規制を行わず、ほぼ100%の通話がつながった。また基地局が予備電源で長時間動いたため、停電時も比較的パケット通信が行いやすかった。
イー・アクセスは4月28日、東日本大震災による同社イー・モバイルサービスへの影響と復旧までの状況を公表した。なお、イー・モバイルの携帯電話サービスは4月13日にすべて復旧している。
震災後に運用を停止したイー・モバイルの基地局は最大878局で、地震や津波の被害を直接受けた基地局は東北エリア内のわずか1%だった。多くは伝送路の損傷や停電が原因となり停波に至ったため、イー・モバイルは地震直後にバックアップ回線への切り替えを実施し3月11日中に約160局を復旧。基地局がまったく使えなくなったエリアに対しては、移動基地局の展開や被害を受けなかった基地局の出力を上げる大ゾーン化で対処を行った。
震災直後には通話が集中し、平常時の約10倍の負荷が通信網にかかったが、他キャリアでは最大90%まで行った音声通話の通信規制は一切実施せず、ほぼ100%の接続率を維持。負荷の変動は3月23日に終息し、その後は平常時の通話量に戻っている。
データ通信は震災直後に利用が急激に減ったが、固定系ブロードバンドのサービス中断によりイー・モバイルへのアクセスが増えている。イー・アクセスでは「時間が経つにつれてネットを活用した情報収集が活発になったのではないか」としている。
またイー・モバイルの基地局は小型のため、エアコンなどがいらず消費電力が少ない。予備電源も6時間以上あるいは最長で約1日程度稼働できるため、震災後の停電時でも多くのユーザーが利用できたという。さらに停電が続いた基地局には、発電機やバッテリーを持ち込んで電源を確保した。こうした省エネ型の設備のため、計画停電時にも予備電源に切り替えることで電力消費を抑えることができたという。
イー・アクセスの復旧活動には、同社のパートナー企業であるファーウェイ・ジャパンや日本エリクソンも参加。ファーウェイは仙台市内の基地局復旧にエンジニアサポートを提供し、日本エリクソンがチャーターしたヘリコプターによる物資の輸送が行われた。
このほかにイー・アクセスでは、被災地支援として2000万円の義援金寄付や被災地でのボランディア活動、携帯電話・充電用アダプターの提供、サービス料金の減免・減額を実施。また震災後に設置した、災害伝言掲示板の提供も継続している。
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