7色カラバリ×ワンセグでケータイからの乗り換えを促進――「STAR7 009Z」に見るZTEのAndroid戦略:LTEスマートフォンの用意も
ソフトバンクモバイルが発売する「STAR7 009Z」は、グローバルモデルでありながら防水・防塵に対応し、ワンセグも備えたAndroidスマートフォン。世界4位の端末メーカーに成長したZTEは日本市場をどう捉えているのだろうか。
ソフトバンクモバイルの「STAR7 009Z」が12月22日に発売されるのに合わせ、ZTEジャパンが国内の携帯電話事業についての戦略説明会を開催した。
ZTEは中国・深センに本拠地を置くグローバルな通信機器メーカー。ソフトバンクモバイル向けには、STAR7 009Zのほかに「Libero 003Z」「シンプルスマートフォン 008Z」と3台のスマートフォンを供給。また、「ULTRA WiFi 007Z」などのデータ通信端末や、みまもりケータイ、かんたん携帯なども手がけている。ソフトバンク以外では、ウィルコムや日本通信などに3G用のデータ通信機器を供給した実績もある。
ZTEジャパンの副社長兼端末最高責任者のワン・チー(王旗)氏は、「ZTEの2010年度出荷実績は、全世界で約9000万台。2011年度の第3四半期もすでに1910万台以上出荷しており米Appleを超えて世界4位となった。五大陸の140カ国以上、200社の通信事業者と取り引きがあり、特に世界の代表的な携帯オペレーター40社のうち36社に端末を供給している。端末の台数ベースでは世界ナンバー5に入り、データ端末だけでは世界第2位のメーカーになった。ZTEはこうした規模のグローバル企業だが、日本ではまだまだ若い会社。日本の商慣習やユーザーの文化など、勉強することはたくさんある」とあいさつした。
ワン氏によると、ZTEのビジネスモデルはオペレーターからのオーダーを受けて端末を大量生産するもので、グローバル企業としてのスケールメリットを最大限に生かす手法。しかし、オペレーターや地域ごとの要望を受けて細かくカスタマイズするため、まったく同じ仕様の端末を全世界で販売しているわけではないという。なかでも、日本市場はカスタマイズの要素が多いと明かす。
「日本市場では、キャリア(ソフトバンクモバイル)との企画・開発などで大変苦労した。ただ生産するだけでなく、作ってからどうやって売るのかまで検討している。とくにソフトバンクモバイルからはさまざまなAndroidスマートフォンが登場しており、ユーザーはより高機能な端末を求めている。日本市場のニーズにどう応えられるのか――(国内では)3台目のスマートフォン“STAR7 009Z”では、その点も重視した」(ワン氏)
続いて登壇した同社モバイルターミナル事業部の安岡浩氏は、STAR7 009Zの開発経緯について、「想定するユーザー層を念頭に、ZTEなりのバリューとは何かを意識して開発した」と振り返る。
STAR7 009Zが想定するユーザー像は、前モデルの003Zや008Zと同様に初めてスマートフォンを購入する層で、フィーチャーフォンからの乗り換え組が中心。今回は使いやすさだけでなく、乗り換えを促進するための付加価値も追加している。
「フィーチャーフォンから乗り換えてもらうために、4つのポイントに注力した。1つはカラーバリエーション、2つ目は防水・防塵とワンセグへの対応。そして親しみやすいUIと操作しやすいUIを盛り込んだ」(安岡氏)
009Zのカラーバリエーションは“STAR7”という製品名に合わせて、地球のアースターコイズ、海王星のネプチューングリーン、金星のヴィーナスイエロー、火星のマーズピンク、木星のジュピターピンク、そして月のムーンホワイトと土星のサターンブラックという宇宙をモチーフにした7色展開。壁紙もこのイメージに沿ったものをプリインしており、個装箱もカラーごとにを用意した。さらに、ソフトバンクモバイルのCMキャラクターである“スペースお父さん”のマスコットも付属する。
独自UIの「カテゴリーメニュー画面」は、ジャンルごとにアプリを整理するもので、画面左端に縦スクロールするメニューを備え、一覧性を向上させている。また、画面上のアイコンもカスタマイズが可能で、アイコンにも“お父さん”のキャラクターなどを用意している。
ソフトバンクモバイルでプロダクトサービス本部本部長を務める丹波廣寅氏は、「これまでのZTE製スマートフォンは、ほかのAndroidと比較してスペック面でのネガティブなイメージがあったかもしれない。しかし009Zは、エントリー向けではあるが決してローエンドの製品ではない。防水やワンセグにも対応しており、フィーチャーフォンユーザーの乗り換えニーズに十分応えられると思う」とコメントした。
ワンセグなど日本独自の仕様を盛り込み、防水・防塵にも対応したSTAR7 009Z。グローバル企業としてこの端末の世界展開はあるのだろうか。ZTE本社でGSM&UMTSプロダクトラインの総経理を務めるテイ・ネイ(丁寧)氏は、「STAR7(009Z)が販売されるのは日本市場が最初で、日本向けにかなりのローカライズを施している。だからといって日本市場専用ということはなく、各地域のオペレーターに合わせたカスタマイズを行い、世界展開する予定だ」と話す。
世界規模で成長するZTEにとって日本はどんな市場なのだろうか。ワン氏は「ユーザーが求めるクオリティが非常に高く、キャリア主導のマーケット。日本での明確な数値目標は設定していないが、日本で評価を受けることの価値は高い。我々は発展途上国向けにローエンドの製品を用意する一方、日本と同じキャリア主導の欧州や米国でハイスペックな端末を展開している。これらを日本市場向けに出す準備もしている。その中には、LTE対応のスマートフォンも含まれているので、機会があれば投入したい」と意気込みを見せた。
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