「日本でもスマートフォンを必ず出します」――ZTE、Android端末への取り組みを強化:ワイヤレスジャパン2010
日本市場向けに端末ラインアップを徐々に拡大している中国の通信機器メーカー ZTEが「ZTEスマートフォン- ZTEアンドロイド携帯紹介」というテーマで講演を行った。今後はスマートフォンにも注力し、日本市場参入の可能性も示唆した。
中国の通信機器メーカーであるZTEは、今夏にソフトバンクモバイル向けに「かんたん携帯 840Z」や「みまもりカメラ」を供給するなど、日本市場向け端末のラインアップを徐々に拡大している。ワイヤレスジャパンで2010のブースでもAndroid端末の新モデルやコンセプトモデルを展示していた。スマートフォンエグゼクティブカンファレンスでは、同社はAndroid端末への取り組みを紹介した。
スマートフォンの各プラットフォームのシェアの推移。緑色の急激に上昇しているグラフがAndroidだ。Androidは、2009年は8〜9位程度だったが、2010年に2位まで伸びている。このほか、数字による詳細なシェアも紹介された
ZTEジャパン モバイルターミナル事業部 事業部長 王旗氏は、Android端末に取り組む意義や、世界のスマートフォン市場全般について説明した。その中で、2009〜2010年のスマートフォンにおける各プラットフォームのシェアを示しながら「各地域ごとにSymbianやBlackBerryなどの第1人者がいるが、Androidは各地域で急成長している」と説明。同氏は「Androidは、世界全体で2009年はシェアが低かったが、2010年には3〜4位まで伸び、世界シェアは10%弱まで伸びてきている。これからもどんどん伸びるだろう」とみている。
また、王氏はAndroidの特徴として、バージョンアップのスピードが非常に速いことを挙げ、「数カ月ごとにOSがどんどん成長している」という利点を強調した。さらに毎日10万以上のアプリがダウンロードされ、ユーザーや開発者が頻繁にAndroidを触っていることや、個人開発者を含めて18万の開発者層がいることなど、シェアが上昇しているだけでなく、アクティブ率が非常に高いことにも触れた。「すでに50以上の通信事業者がAndroid端末を採用しており、ZTEにもチャンスがある」
NokiaやSamsung電子などの大手メーカーと比べると、ZTE製端末はローエンドやミドルレンジのモデルが多い。ハイエンド端末も通信事業者の要望次第では投入するが、スマートフォンもローエンドやミドルレンジの製品を中心に開発していく構えだ。また、2009年の同社は携帯電話やデータ端末などの無線機器を計6000万台出荷し、世界市場のシェアが2008年の6位から5位に上がった。王氏は「メインは通常の音声端末だが、スマートフォンの需要も高まってきており、今後はスマートフォンにも注力していく」との姿勢も示した。
現在、ZTEは10モデル30機種のスマートフォンを供給しており、メーカーブランドとしてではなく、通信事業者を通じて販売している。王氏は「通信事業者からはコストパフォーマンスが非常に高いことを評価してもらっている」と胸を張った。開発コストについては「世界で同時発売しているので、部材調達などの面で有利」と説明した。
さらに、王氏はメーカーからの要望に対して柔軟に端末をカスタマイズできることも強みだとアピールした。Androidのホーム画面やロック画面のUI(ユーザーインタフェース)のカスタマイズや、独自にプリインストールしたアプリケーションなどを紹介し、「いろいろな通信事業者向けに端末を提供しているが、それぞれにカスタマイズしいる。部品調達などでメーカーと相談するだけでなく、アプリケーションやコンテンツもASPやCPといったサードパーティの企業と相談しながら採用している」と述べた。
ZTEはサードパーティとのつながりを重視しており、現地のニーズ調査なども含め、積極的に協業して製品を開発できるのも強みといえる。王氏は「まだ通信事業者と相談中だが、日本市場でも必ずスマートフォンを出します」と力強く締めくくった。
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