基本的な画質はかなり良い、ただし“ゴースト”に注意――「ARROWS X LTE F-05D」:荻窪圭の携帯カメラでこう遊べ(3/3 ページ)
“全部入り”スマートフォンの「ARROWS X LTE F-05D」は、カメラにソニー製の裏面照射型CMOSセンサーを採用しているのも注目すべきポイントだ。富士通伝統の撮影機能や画質を見ていこう。
ISO感度は基本的にオートのみだが、シーンの中に高感度モードが用意されている。暗いときはそれを使うとちょっと撮りやすくなる。けっこう暗めの場所でもクオリティは高い。
ただ、通常だとISO感度がいくつで、高感度モードにするとどのくらいまで上がったかはさっぱり分からない。実は写真に撮影情報がほとんど記録されないからだ。デジカメではEXIFという規格にのっとって、レンズやシャッタースピードや絞り、露出補正、ISO感度などの情報が書き込まれるので、後からどんな設定で撮ったかがすぐ分かる。だがARROWS X LTEのカメラは絞りもシャッタースピードもISO感度も空欄のままなのだ。
初期のケータイカメラにはよくあったが、イマドキのケータイやスマホでここまで空欄が多いのは初めて。富士通の製品だからかと思って調べてみたが、3年前の端末ではしっかり撮影情報が書かれていた。謎である。なくても写りには関係ないけれども、ここまでカメラに力を入れた機種としては、いただけない。
動画撮影はフルHD動画に対応。H.264圧縮の3gpファイルとして記録される。
最後にエフェクト効果モードの作例をいくつか挙げておこう。まずHDR。コントラストが高い構図の場合、HDRを使うことで、つぶれていたシャドウ部や飛んでたハイライト部が復活する。ただし、ちょっとした手ブレで合成がずれちゃう(実は下の作例も一部がずれてる)ことがあるので注意。
もともとのコントラストが低い場所では、アーティスティックな写真になる。これを狙ってみるのも面白い。逆光のシーンで使うのもお勧めだが、例のゴーストが出ちゃうかもしれないので難しいか。
次は背景ぼかし。あれこれいろんな被写体を撮ってみたが、うまくいったのはこういう感じの構図だった。帽子以外が大きくボケてる。ただ、左上や右上の木がボケずに残ってるなど、完ぺきにはほど遠いけれども。
色味を思い切り強く出したいときはビビッドが。紅葉や落ち葉もここまで真っ赤になってくれる。これはこれで面白い。
クロスプロセスでは、街のなんてことないスナップをアートっぽく仕上げてくれる。
シャドウ部をぐっと締めた陰影の強い写真にしたいときはダークがお勧め。
そんなわけで、基本的な画質はかなり良い。本当にきれいに撮れる。撮影もサクサク進むし、カメラアプリの使い勝手もいい。エフェクト機能もいくつか使えないものを除けば、派手めの効果が楽しめる。
ただ、写真をたくさん撮りたい人ならこれがお勧め、とはいかないのがたいへん残念。本当に残念。基本画質はトップに迫るレベルなんだけど、いかんせん、ちょっと逆光になっただけで光の輪が映り込んでは困るのである。ぜひ改善を望みたいところだが……。
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