Huaweiの“強み”とは?――「Ascend D2」「Ascend Mate」の狙いとスマホ戦略を聞く:2013 International CES(2/2 ページ)
「不可能を可能にする」――そんな社是のものと、チャレンジ精神を持ってインフラ事業や端末事業を展開しているHuawei。今回はCESで発表したAscend D2とAscend Mateの狙いや優位性、そして日本市場への取り組みについて聞いた。
iPhoneやGALAXYを超えるような商品を目指した
―― Ascend D2とAscend Mateの発表会では、何度もiPhoneやGALAXY S/Noteと比較して説明していることが印象的でした。やはりiPhoneとGALAXYは気になる存在なんですね。
ホウ氏 そうですね。ただ、Ascend D2とAscend Mateは、性能もユーザー体験も2つ(iPhoneとGALAXY S)に匹敵する端末だと思っています。
―― “打倒iPhone、GALAXY S”のような、「iPhoneやGALAXY Sを超えよう」という明確な目標があったのでしょうか。
ホウ氏 はい、そういう目標は持っていました。Huaweiが最も良い端末を提供したいという想いで開発しています。
伊藤氏 Huaweiは2015年までに世界トップ3の携帯電話メーカーになるという目標を立てています。現時点でiPhoneやGALAXY Sは、常にベンチマークすべき存在だと思っています。我々も意識して、彼らを超えていくような商品を企画しています。
―― トップ3に入るために何が必要だとお考えですか。
ホウ氏 世界トップ3の端末メーカーになることは、とてもチャレンジングなことです。まず大事なのは商品。これまで弊社は、成功している他社を追いかけてきましたが、今弊社が発売している商品は、他社に負けない優れたものだと思っています。もちろん、それだけでは足りません。ブランド力や販路の拡大も重要なので、今後はそこにも力を入れます。良い商品、パートナー、ブランド。この3点がそろえば、Huaweiはトップ3のメーカーになれると思います。
伊藤氏 アーリーアダプターと呼ばれる層へのスマートフォンの普及は一巡して、今はレイトマジョリティと呼ばれる人たちが増えています。そういう人たちに訴求して商品を買っていただくためには、スペックだけではなく、使い心地の良さや簡単に使えることを打ち出していく必要があると感じています。
LTEの進化に素早く対応できるのがHuaweiの強み
―― ブランドを向上させるには、Huaweiにしかないものが重要だと思います。Huaweiのオリジナリティとは何でしょう?
ホウ氏 Huaweiは創業して20年の若い会社で、「不可能を可能にする」をポリシーとしています。こうしたチャレンジ精神は、Ascendにも体現されています。
伊藤氏 Huaweiはネットワークベンダーとして世界2位、LTE基地局ベンダーとして世界1位です。LTEのリーディングカンパニーとして、LTEの進化に素早く対応できるという強みがある。またHuaweiはグローバルメーカーではありますが、各地域でのニーズをくみ取って柔軟に製品を開発できます。
ホウ氏 私がHuaweiに入社してから13年が経ちます。最初はインフラ事業でしたが、今はスマートフォン事業に携わっています。Huaweiでは人員の配置も臨機応変に行えます。最も先進的なインフラからスマートフォンまで、End to Endのトータルソリューションを提供できることも強みです。また、チップセットも強みの1つです。
―― Ascend D2とAscend Mateには、(Huawei傘下の)HiSilicon製チップ(「K3V2」。Ascend D2のLTEチップは同じくHiSilicon製の「Balong V7R1」)を使っていますね。LTE端末にはQualcomm製のチップを使うメーカーさんが多いですが、HiSiliconのチップを使うメリットは何でしょう。
ホウ氏 弊社の端末すべてにHiSiliconのチップを採用しているわけではありません。Huawei製スマートフォン向けのチップに対してはオープンな考えを持っていて、その時々で商品化できる最もよいチップを採用しています。今回の2機種にHiSiliconのチップセットを採用した大きな理由は、現在、LTEのCategory 4に世界で唯一対応しているからです(実際、ドコモから発表されたAscend D2 HW-03EとモバイルWi-Fiルーター HW-02Eは、春モデルで唯一Category 4に対応している。また、QualcommもCategory 4に対応したSnapdragon 800を発表しているが、搭載製品の登場はまだ先の見通し)。
伊藤氏 HiSilicon製チップのメリットは、ネットワークの進化にいち早く対応できることです。例えば(異なる周波数帯を組み合わせて高速化できる)キャリアアグリゲーションや、(LTEネットワーク上で音声通話ができる)VoLTEなどにも対応しやすいので、こうした機能の実装も推進していきます。一方で、Qualcommさんとのパートナーシップもあるので、その時々の商品によって、最適なソリューション(チップ)を選びたいと思います。
日本市場ではHuaweiブランドの浸透に課題
―― Ascend D2を防水対応としたのは、やはり日本市場を意識したからでしょうか。また日本向けのカスタマイズについてはどのようにお考えですか。
伊藤氏 防水については、グローバルでも一定の需要が見込めることが分かったので、対応させました。日本向けのカスタマイズについて、「Ascend HW-01E」ではNOTTVやFeliCaなどに対応していますので、その延長線上で柔軟にカスタマイズしていく方針です。
―― Ascend HW-01Eの売れ行きはいかがでしょう?
伊藤氏 HW-01Eは日本でのAscend初号機ということで、Ascendブランドを広く知っていただくために、テレビCMや屋外広告を打たせていただきました。その結果、Ascendという名前の認知度は非常に高まったという感触を得ています。ただ端末の売れ行きについては、Huaweiブランドの認識率も含めて課題があります。Ascendの意味である「上昇する」を体現できるよう、ユーザーさんの生活をより豊かにして、広く知っていただけるような取り組みを行っていきたいと思います。具体的には、タッチ&トライの場を設けたり、店舗でより明確に訴求していただくといった活動を推進したいと思います。
―― 今後も日本でのブランディング活動を継続していくと。
伊藤氏 はい。
―― Ascend D2は日本でも発売されますが、あらためて、日本市場への考えをお聞かせください。
伊藤氏 日本市場の、機能や品質へのこだわりは高いものがあると思っています。HW-01EでNOTTVやFeliCaなどに対応させたように、日本市場で求められる機能は柔軟に取り入れつつ、Emotion UIなど、使い勝手にもこだわっていきたいです。日本で受け入れられるものを作れば、世界にも受け入れられると思っています。その取り組みの1つとして、防水をグローバルのフラッグシップモデルにも入れました。日本市場での成功が、今後グローバルのフラッグシップモデルでの成功にもつながっていくでしょう。日本市場は戦略的なマーケットとして、積極的に商品投入やブランディング活動を行っていきたいと思っています。
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