「Ascend P6」で刷新したHuaweiのスマートフォン戦略――LTE版も開発中:CEATEC JAPAN 2013
ファーウェイ・ジャパンがCEATECで、厚さ6.18ミリのグローバルモデル「Ascend P6」を日本で初めて披露した。日本での発売は未定ながら、10月1日の発表会であらためて特徴を説明したのは、P6がHuaweiにとって“新しいAscend”に位置づけられるからだという。
ファーウェイ・ジャパンは、CEATEC JAPAN 2013のブースでHuaweiの最新スマートフォン「Ascend P6」を日本で初めて披露した。
Ascend P6は、6月18日にイギリス ロンドンで発表された当時は“世界最薄”を実現したスマートフォン。サイズは65.5(幅)×132.6(高さ)×6.18(厚さ)ミリ、重さは約120グラム。現在は77カ国で販売されており、今後は100カ国に拡大される予定だ。
Ascend P6がHuaweiの物作りの方法を変えた
10月1日に開催した発表会の冒頭では、Huawei コンシューマー ビジネスグループ エグゼクティブ バイスプレジデントのコリン・ジャイル氏が登壇。「Huaweiは世界に16のR&D(研究開発)を展開しており、そのうちの1つが日本にある。日本は非常に技術的な革新が進んでいるマーケットだと認識している。これからも日本に強くコミットして事業展開していきたい」と意気込みを語った。
現時点でAscend P6の日本発売は未定だが、ファーウェイ・ジャパンは発表会にて同機種の開発コンセプトをあらためて説明した。その理由について、プロダクトセンター 商品企画部長の伊藤正史氏は「Ascend P6は、弊社の物作り、製品の考え方、デザインの世界観、ブランディングを含め、スマートフォンの戦略を刷新したもの。新しいAscendシリーズの1号機に該当する」と話し、P6がHuawei製品の中で1つのターニングポイントになったことを示した。
Android 4.2、1.5GHzクアッドコアCPU、2000mAhバッテリーを備えるなど、Ascend P6は必要十分なスペックを満たしているが、通信サービスはLTEをサポートしない(UMTSとGSMに対応)。伊藤氏も「LTEの要望が高まっている」ことは理解しており、「現在、(Ascend P6の)LTEモデルを開発中なので、ご期待いただきたい」とのことなので、続報を待ちたい。Ascend P6を日本で発売できないのは、LTE非対応が大きな要因といえる。LTEのエリア化が急速に進んでいる日本では特に、新機種のLTE対応は必須だろう。LTE版の厚さがP6と同じ6.18ミリとなるかは不明だが、ぜひ“世界最薄のLTEスマートフォン”を目指してほしい。
カメラ、デザイン、UIがAscend P6の特徴
伊藤氏は、Ascend P6の特徴を「カメラ」「デザイン」「ユーザーインタフェース」の3つに分けて説明する。
まずカメラについて。P6のカメラには独自の「IMAGESmart ENGINE」を搭載しており、撮影時に「スマート」を選ぶと、200のパターンから、周囲の環境や状況に応じてシーンを自動判別し、コントラストや明るさを調整してくれる。「一般的なカメラには、いろいろなシーンやパラメーターの設定がある。プロカメラマンなら使いこなせると思うが、一般ユーザーがすべてを使いこなすのは非常に難しい」(伊藤氏)との考えから、誰でも簡単にきれいな写真を撮れるようこだわった。また、P6のカメラはF値が2.0なので明るく撮影できる。IMAGESmart ENGINE、自動シーン認識、F2.0の合わせ技で明るくてきれいな写真が撮れるというわけだ。さらに伊藤氏は、4センチまで近づけるマクロ撮影も紹介した。
500万画素のインカメラも特徴の1つで、10段階の「ビューティーモード」も利用できる。ビューティーレベルを最大の10に設定すると、10歳若返って見えるというユニークな機能だ。この機能はアウトカメラでも楽しめる。
堀田氏は、ウィルコムのPHS端末「nico.」や「9(nine)」のデザインにも携わったこともある。日本の携帯電話のデザイントレンドに造詣が深いだけに、これまで培ってきたノウハウが、Huawei端末にどのように反映されるのか(されているのか)、興味深いところだ
デザインについては、プロダクトセンター プロダクトブランディング 担当部長の堀田峰布子氏が説明。Ascend P6のデザインは「紙」から着想を得たという。「紙は古来からメディアとして使われていた。我々は、その紙のメディアであること、薄さに注目してデザインした」と堀田氏。その中でAscend P6の独自色を出せるよう工夫したのが「2つのCを組み合わせた」というフォルムだ。これにより、「6.18ミリのボディに剛性と安定感を与え、かつ独自のデザインの言語として成立している」と堀田氏は説明する。
側面にはステンレス、背面にはマグネシウムを使い、「ひんやり冷たい、金属の本物感を体験できる」(堀田氏)のもAscend P6ならでは。カラーバリエーションは、スタンダードなホワイトとブラックに加えて、グローバル端末では珍しく、独自色を出すために当初からピンクをラインアップした。
最後にユーザーインタフェースについて見ていこう。Huaweiは従来からスマートフォンに「Emotion UI」という独自UIを採用しており、階層構造のない(アプリトレイのない)ホーム画面を特徴としている。堀田氏は「アプリをダウンロードすると、隣のページに追加されていく。どのアプリがどこにあるのかが分かりやすく、探しやすい。アプリは好みに応じてフォルダ(Huaweiはイージーフォルダと呼んでいる)で整理できる」とそのメリットを話す。時計、天気、アルバム、オーディプレーヤーなどの小さなウィジェットが集まった「Me Widget」も用意し、1つのウィジェットでさまざまな情報や機能を管理できる。
壁紙、ロック画面、フォント、アプリ、Meウィジェットなどのテーマを一括で変更できる“着せ替え”にも新たに対応した。グローバル端末ですでに1000以上のテーマを用意しており、ダウンロードして利用できる。
アプリごとに3G/Wi-Fi通信のオンとオフを設定できる「Permission Manager」も、新たに搭載した。バックグラウンドでの通信量が多いアプリの通信を一時的にオフにすれば、バッテリー消費を抑えるのに貢献しそうだ。
Ascend P6をはじめ、「Ascend D2」「Ascend Mate」など、そのほかのHuawei製グローバルモデル、ソフトバンクやイー・モバイル向けの国内製品も多数展示されているので、気になる人は、ぜひ手にとって試してほしい。
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