「BIGLOBE LTE・3G」「楽天でんわ」「Tegra Note 7」で活気づく“格安”トレンド:石野純也のMobile Eye(11月25日~12月6日)(3/3 ページ)
今回は“格安”に関連する発表が続いた。月1Gバイトまで、LTEをフルスピードで利用できる「BIGLOBE LTE・3G」の「エントリープラン」、番号そのまま、30秒10.5円で通話ができる「楽天でんわ」、そして2万5800円前後という安価で購入できる「ZOTAC Tegra Note 7」を取り上げよう。
素早く、安価にタブレットを投入できるプラットフォーム「Tegra Note 7」
NVIDIAグラフィックスボードなどを手がける香港のZOTACは、「ZOTAC Tegra Note 7」を開発、アスクが日本での販売を行う。店頭想定価格は2万5800円前後。7インチタブレットのボリュームゾーンである、3万円以下を実現した。
低価格だが、機能は豊富だ。チップセットにはクアッドコアの「Tegra 4」を搭載しており、応答性の高いスタイラスを内蔵。これは、「(GALAXY Noteなどに採用される)アクティブスタイラスの性能と機能を、(静電容量式タッチパネルに用いられる通常の)パッシブスタイラスの価格で実現したもの」(NVIDIA テクニカルマーケティングエンジニア 矢戸知得氏)。ペンの当たる面積を計算して、疑似的に筆圧を再現することもできる。タッチパネルのスキャンレートを上げ、遅延も非常に少ない。
撮影時に常時HDRがかかる機能(アップデートで対応予定)や、筐体内にバスレフを設けてサウンドにこだわった点も、この端末の特徴となる。Tegra 4は、72基のGPUを搭載しており、グラフィックスに凝ったゲームもスムーズに動く。こうした映像をテレビなどの大面に出力するためのHDMI端子も備えている。
Tegra Note 7はZOTACの製品という位置づけだが、端末のベースはNVIDIAが開発したプラットフォームとなる。背面にメーカーのロゴこそ入っているが、そのほかの仕様はほぼリファレンスデザインそのままだ。NVIDIAのマーケティング本部長 林憲一氏は、同社がこうしたリファレンスを提供する目的を次のように語っている。
「今年度は世の中に1億台以上のタブレットが発売されるが、バッテリーの持ちを長くしてほしい、軽くしてほしい、より高精細なディスプレイを搭載してほしい、新しいプロセッサーや新しい通信方式に対応してほしいなど、さまざまなニーズに応える課題がある。こうした設計の課題にいち早く対応して、タイムリーにマーケットに投入するのは非常に厳しいが、このようなプラットフォームがあれば対応できる」
NVIDIAでは、「Tegra 3」のころ「Kai」というプラットフォームを開発しており、これはGoogleブランドの「Nexus 7」などに採用された。林氏はこの実績を挙げ、「KaiをNexus 7が採用し、低価格でありながら高性能ということでベストセラーになった」と語っている。
NVIDIAによると、提供の形は2つあり、ZOTACのようにほぼそのままの形で登場するものと、メーカーがハードウェアやソフトウェアを大幅にカスタマイズして登場するものに分けられる。後者の事例としては、HPが開発した「Slate 7 Extreme」があり、背面のデザインなど、外観は大きく変わっている。メーカーの持つ強みを生かしつつ、安価で性能の高いタブレットを開発できるというわけだ。
スマートフォンの分野ではNVIDIAの競合ともいえるクアルコムが「QRD(Qualcomm Reference Design)」という取り組みを行っており、同様にほぼそのままの形で市場に投入できる。同社によると、リファレンスデザインの受け取りから市場投入までを、60日で行えるという。こちらはエマージングカントリーと呼ばれる新興国向けの取り組みで、NVIDIAのTegra Note 7とは異なり、日本に投入した実績はない。
このように、端末の世界でも、それなりの性能で低価格を実現することができるようになった。冒頭述べたように、スマートフォンやタブレットの世界にも、ジェネリック市場が広がりつつある一例と言えるのかもしれない。
関連記事
- 「石野純也のMobile Eye」バックナンバー
石野純也のMobile Eye(11月11日~11月22日)その1:SIMフリーのiPhone 5s/5cが発売――各キャリアの対応とメリット/デメリット
新モデルの発売が相次いだここ2週間の最終日に、AppleがSIMフリー版のiPhone 5s/5cを発売するというビッグニュースが飛び込んできた。ドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・アクセスの対応は? 各社に聞いた。ポイントは無料Wi-Fi、月額3000円以下で使えるNexus 7/スマホセットも:BIGLOBE、「1Gバイト/月額980円」の低価格LTE新プラン──「1Gバイトで大丈夫?」を工夫
LTEデータ通信サービス「BIGLOBE LTE・3G」に1Gバイト/980円の低価格な新プランが登場。同時にIGZOスマホとセットにした「Wi-Fiほぼスマホ」を通信費込み月額2950円で提供するサービスも始める。「1Gバイトでは足りない!」と感じるユーザー向けの施策を盛りこんだ。じつはドコモ版iPhone 5sでも使える:「BIGLOBE LTE・3G」がサービス強化、値下げ+2年縛りなし/nanoSIMも選択可能に
低価格SIMカードサービス「BIGLOBE LTE・3G」がサービスを改訂。2年縛りなし、月額料金値下げ+最大通信量の増加など、より導入しやすいサービスプランとなった。番号そのままで発信できる――フュージョン、30秒10.5円の「楽天でんわ」開始
楽天グループのフュージョンが、30秒10.5円で携帯番号を使って発信できる通話サービス「楽天でんわ」を提供した。携帯会社の標準的なプランと比べて半額の通話料で済む。携帯電話やPHSの回線を使用できるのもメリットだ。NVIDIAのTegra 4搭載7型タブレット「Tegra Note 7」がZOTACから
NVIDIAは、Tegra 4を採用した7型ディスプレイ搭載タブレット「Tegra Note 7」を正式に発表した。日本市場ではZOTACが12月4日から販売を開始する。TegraはSnapdragonを超えたのか?:「Tegra Note 7」で“Tegra 4タブ”のリファレンス性能を確認する
Nexus 7で採用されたTegra 3。だが、Nexus 7 新モデルではSnapdragon 800シリーズにその座を奪われてしまう。Tegra 4の実力は7型タブでもライバルを超えるのだろうか?
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.