「Xperia Z3」の強みとは? ウェアラブルはどう攻める?――ソニー平井社長に聞く:IFA 2014(2/2 ページ)
IFA 2014でフラッグシップモデルの「Xperia Z3」と、コンパクトスマホ「Xperia Z3 Compact」、ソニー初の8型タブレット「Xperia Z3 Tablet Compact」を発表したソニー。これら3モデルの狙いやXperia全体の戦略、ウェアラブルの取り組みなどを平井社長に聞いた。
Xperiaの戦略はどう見直す?
―― 第1四半期で下方修正したが、Xperia Z3を出すことで下方修正後の数字は維持できるのか。
平井氏 決算会見では、まさしく(営業利益見込みを)260億円に下方修正してブレークイーブン(ゼロにする)という発表をしました。その際に、Xperia Z3、Z3 Compact、Z3 Tablet Compactは商品として当然見えていて、これは織り込み済みです。市場は全体的に23%伸びていますが、現実的に見直して下方修正をしました。
年初の前に、今年度の予測ということで、台数を発表させていただいたが、現実的には市場がかなり動く。その際にも、下方修正もしくは上方修正することがあるかもしれないが、タイムリーにお話をしていくと申し上げました。今回は現実的に見て、260億円の下方修正ということにしています。
―― 同時に戦略の見直しも発表した。その詳細について、何か進展したことは。
平井氏 今後、いろいろな機会があって詳細を説明する場はあると思うが、1つは、マーケットシェアだけを追いかけるのではなく、その前に利益体質を作っていくということ。利益重視のオペレーションをしていきたいということは、鈴木以下、ソニーモバイルのマネージメントとも共有しています。
今回も「Xperia E3」というモデルを発表しましたが、これは普及価格帯の商品です。こういったものも引き続きやっていきますが、フラッグシップのXperia Z3、その派生としてのZ3 Compact、Z3 Tablet Compactにより力を入れ、ソニーの技術をアピールできることにウェイトをかけていきます。
マーケットシェアを取ってこそナンボという議論もありますが、そこにはあまり足を踏み込みません。結局赤字になってしまっては続きませんから。
―― つまり、Xiaomiを初めとする中国メーカーとは、同じ土俵で戦わないということか。
平井氏 彼らがどういう戦略でくるのか、情報を持ち合わせていませんが、ソニーの持っている技術的な強みに加え、グループで貢献できるコンテンツ、アプリを含めて、ソニーらしさを提供することが大事だと考えています。
―― CESではボリュームゾーンをやると言っていたが、すぐに覆したことになる。戦略の見直しはソニーモバイルのトップ人事を含む抜本的なものになるのか、それとももう少しソフトランディングになるのか。
平井氏 私はソニーといういろいろな事業のトップを見てきましたが、ソニーモバイルに限らず、過去を見ると入れ替えが激しすぎました。ビジネスを安定させるには、トップが安定していないといけない。同じポリシーを持って、全うしてもらいます。
テレビで言えば、今村、高木のコンビでずっとやっていて、安定しています。ソニーモバイルについても国正中心に構成しています。彼らには最後まで頑張ってほしいと思っています。
数字については、当時はアグレッシブな数字でした。「どうなのか」と言われましたが、そのときには、今はできると思っていました。逆に、そうでなければ即刻方向転換するとも言っていました。半年であれ、クオーター(四半期)であれ、マーケットはどんどん変わっています。特にこのビジネスは、1回決めたらこうしないといけないというのはおかしい。ある意味で、リアルタイムでやらないと置いていかれてしまいます。
―― 戦略をこう見直すなど、中身を教えてほしい。
平井氏 まさしく今、見直している最中ですから、この段階で、個々の地域をこうしていくというのは控えさせていただきたい。ラインアップや、固定費・人件費の持ち方、マーケティング、地域展開をどうしていくのかといったことは全てを考え直して、フレッシュにしていきます。
ビジネスをゼロから見直して、地域展開や開発の仕方を前に決めたところから絶対に変えない、ということはしません。
ウェアラブルはトライアルの段階
―― ウェアラブルのように、有望と思われているものを作っていく話もありましたが、市場性やビジネス展望をどう考えているのか。例えば、スマートウォッチはあまりにも商品が多く、ビジネスにならないかもしれない。ソニー全体の中で、どう位置づけているのか。
平井氏 ウェアラブルは市場としての可能性が高いと思っています。例えば、14年で言うと20億ドルぐらいの市場があり、4年後には200億ドルぐらいまでいくという市場予測も出ています。その中で、ソニーとしても商品展開をしていきたい。ウェアラブルは不動産ビジネスで、人間には手首が2つしかありませんし、顔にかけるものはメガネ1つです。4つかける人はいません。逆に、参入障壁が高く、その一等地を確保すればいいビジネスができます。
ありとあらゆる分野のジャンルの製品が出てきて、過当競争ではとおっしゃっていましたが、今は何がヒットするかが見えていないところでの競争、トライアルの段階です。フォームファクターはどうするのか、大きさはどうするのか。私たちもSmartWatch 3とSmartBand Talkの両方を出しますが、それぞれ機能、大きさ、見え方、バッテリーライフが違います。
何がヒットするかは、各社が切磋琢磨しないといけない。その中で勝者が出てくることになりますが、何がウケるかはまだまだ分かりません。
また、ウェアラブルと一言で言っても、手首につけるウォッチはそれなりの格好をしていればいいのですが、グラス系になるとかなり目立ちます。社内のデザイナーもいろいろなものを持ってきます。その際にいつも言っているのは、「あなたが自信を持って、満員の山手線の中でも恥ずかしくなくかけられるデザインになっているかが勝負」ということです。ファッション性が問われる中で、そこをどう考えるかが重要です。メガネに対してどこまでファッション性が持てるのか。外部のメガネメーカーとコラボするなど、機能一点張りで済まされることではありません。
この間もインタビューで、「この手のデバイスはどうしてもマスキュリン(男性的)ですね」と指摘を受けました。そこは克服していかないといけないと思っています。
ソニーだけというより、ファッションセンスや商品センスに長けている会社とコラボレーションするなど、オープンマインドを持っていかないとなかなか難しい。逆に言うと、メガネメーカーさんがスマートフォンを作るといっても「どうなのか」となるのと一緒です。経験があるところと一緒の方がいいとなりますよね。
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