「ドコモ光パック」はなぜ複雑に?――各社の“光コラボ+モバイルのセット割”を読み解く:石野純也のMobile Eye(1月19日~30日)(2/2 ページ)
1月下旬は、NTT東西の光回線を卸販売する「光コラボレーション」を活用した通信キャリアやMVNOの発表が相次いだ。特に注目を集めているのがドコモの「ドコモ光」と「ドコモ光パック」。今回は各社の光コラボ関連の発表を振り返りたい。
固定部分での差別化は困難、鍵は固定とモバイルの連携サービス
一方で、こうしたしがらみの少ない会社の方が、シンプルで分かりやすい料金プランを提示できている印象を受ける。1月30日には、ソフトバンクが「SoftBank 光」を発表した。固定回線側は、済んでいる住居形態で異なり、戸建が5200円、マンションが3800円。ISPは「Yahoo!BB」に一本化されているため、ドコモ光より分かりやすい。また、セット割の「スマート値引き」は、auスマートバリューを意識したものに仕上がっている。
割引額はデータパックによって異なり、スマ放題の「データ定額パック・大容量(10)」以上なら2年間2000円(税込)。月5Gバイトの「データ定額パック・標準」では、2年間で1522円(税込)になる。税込表記のため分かりにくいが、1522円(税込)はauスマートバリューの1410円(税別)と同額だ。ホワイトプランでは割引額が500円(税込)にとどまるなど、auスマートバリューとの違いはあるが、いくら安くなるのかが明示されている点で、仕組みは比較的シンプルだ。
光コラボを活用したセット割を行うのは、大手通信事業者だけではない。MVNOと光コラボを組み合わせて、固定とモバイルの一体提供を目指すキャリアも増えている。中でも、特色のある料金プランを打ち出しているのが、U-mobileを提供するU-NEXT。同社は「U-NEXT光コラボレーション」とU-mobileの複数回線を組み合わせ「スーパーファミリーバリュー」を開始する。
スーパーファミリーバリューは、最大5回線のモバイル回線を組み合わせられるセットプラン。割引額はモバイルが2回線以上だと大きくなり、2回線で8000円、3回線で1万円、4回線で1万2000円、5回線で1万4000円となる(戸建の場合はプラス1000円で、ISPの料金は別途必要)。モバイル側は「通話プラスLTE使い放題」で、月々のデータ量に制限はない。U-NEXTの代表取締役社長 宇野康秀氏は「東西にいくら払って、ISPにいくら払って、ケータイにいくら払ってという計算をする必要がなくなる」と、そのシンプルさに自信をのぞかせた。
なお、スーパーファミリーバリューよりも額は小さくなるが、U-mobileが1回線でも割引は適用される。この場合は通話プラスLTE使い放題以外の料金プランも選択できる。
U-NEXTはもともと、映像配信やフレッツ光の販売、MVNOが収入源になっていたが、そこに新たに固定回線が加わることになる。宇野氏は「フレッツの販売を即時やめるわけではないが」と前置きしつつ、「自社サービスの加入を最大化することが将来的な展望」とビジネスモデルを転換していく目標を語った。自社で固定回線を提供すれば、「解約率が極端に高くなければ、安定した利益が見込める」(同)。まさにこれは、キャリアとしてのビジネスモデルだ。
とはいえ、NTT東西からの卸価格が一定である以上、固定回線だけでの差別化はしにくい。現にU-NEXTの固定回線の料金も、ISPまで含めるとドコモ光やSoftBank光に比べて極端に料金が安いわけではない。宇野氏は「勝負のポイントは1つではなく、総合力になろうかと思う」と語っているが、裏を返せば、固定回線だけではパンチ力が弱いということ。固定通信やモバイルを上手に連携させたサービスを、いかに提供していけるかで成否が分かれそうだ。
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