4年ぶり増収増益のドコモ、新ARPU導入の背景 2年縛り見直しとMVNOの影響とは?:ドコモ光も好調(4/4 ページ)
4年ぶりに増収増益の決算を発表したドコモ。2台目需要でタブレット販売が伸びたほか、新料金の浸透でパケット収入が伸びたほか、スマート領域の事業も順調に推移した。
「2年縛り」見直しはいつ? MVNOの影響は?
決算会見では、総務省の有識者会議でいわゆる携帯電話の「2年縛り」を見直す方針が出されたことについて質問があった。
加藤社長は「いくつかの案を検討中で、方向性はまだ決まっていない。分かりやすく、納得性のあるのはどこか、迷っている。簡単ではないが、多くのお客様に喜んでいただけるようにしたい。(提供は)できるだけ早くとは思っている。検討するパラメータは多いが、決めることは難しくない。実施の意思を決めれば、議論して適用まで移せるが、最後のゴールは多分年度内と思っている。社内には『スピードが大事』と言っているので、それよりは早く決めたい」と述べた。
また「2年契約していただくとお安くするスキームは、ずいぶん前から行っている。言ってみれば乗車券の定期のようなもの。自動更新がいいのか、期間はどうか、解約金のありかたが議論されていると認識している。ただ大層のお客様に選んでいただいており、ご不便さも感じておられないと思っている。とはいえ、できるだけ選択できるようにしたい」と補足した。
同じように総務省が見直しを求め、ガイドラインを改訂したSIMロックの解除についても、「そもそも(先の)ガイドラインが出たときから従って対応し、年間で11~12万件のSIMロック解除を行っている。今回も6カ月間の縛りを付けながらも、長く使っていただいている方のことを考えて条件を緩和して利便性を高めたつもり。(2年縛りとSIMロック解除は)事業のあり方、競争のあり方の根幹に関わる問題。慎重に検討していきたいが、最後はお客様にとって何が便利で、何が良いのかで判断したい」と説明した。
また純増数の増加に、活況を呈すMVNOがどれくらい影響を与えているのかについては、「無視できるほど小さい数ではないが、数値の開示は控えたい」とした。またARPUについてもドコモと直接契約したユーザーからの収入だけを示している。「MVNOには10Mbps単位で回線を貸し出し、またSIMを卸しているが、貸し出した回線容量でMVNOが何契約を獲得しておられるかは、我々には分からない」(加藤社長)という。
MVNOについては、「純増を支えていただいている面とMNPで転出先になっている面がある。いろいろな事業者がMVNOになり、連携していくこともあるだろう。電気通信事業法も改定される方針で、またドコモのサービスが行き届いていない層も多い。1つのアイテムとしてどう向き合っていくのか、これからの課題」とまとめた。またMVNOとの契約については、「接続義務はあるが、事前の審査はしている。以前にはお断りした例もある。例えば資金力や信用力、別の事業で問題があった場合などだ」と明かした。
新型iPhoneの登場が見込まれる9月以降、また春商戦を控える下期の競争環境については、「新モデルの注目度合いによるだろう。ただキャッシュバックでたたき合うことは慎みたい。消耗戦にしようというつもりはない」とした。Windows 10 Mobile搭載のスマートフォン/タブレットについては「検討しているが、今のところいつとは言えない。引き続き検討していく」と述べるにとどまった。
また大幅な赤字が報じられたスマートフォン向けマルチメディア放送のmmbi(NOTTV)については、「改善や利益の面だけでは見ていない。スマホという5型前後の画面への放送と捉えている。まだ従来は独自の番組だけだったが、他の専門チャンネルもパック料金で提供を開始した。残念ながら大幅増とはなっていないが、今後どのような評価になるのか、その反応を注視していきたい」と、サービス終了を否定した。
そのほか、2016年の電力自由化について、「ドコモ光で家という単位を意識しているが、電力もその視点になるだろう。ただ電力会社と組んだときに何ができるのか。単なる割引だけではないと思う。+dの相手が電力会社だったときに何ができるのか、幅広に意見交換していきたい」とコメントした。
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