格安スマホブームのなか「胡散臭いMVNO」もチラホラ登場――NTTドコモは「怪しいMVNO」にどう対応していくのか:石川温のスマホ業界新聞
最近、「格安SIM」や「格安スマホ」のブームもあって増加の一途をたどるMVNO(仮想移動体通信事業者)。“もうかる”という理由でMVNOに進出してくる“怪しい”企業に対し、ドコモはどのように対応していくのだろうか。
ここ最近、格安スマホブームもあって、MVNOが増え続けている。
大手MVNO関係者に話を聞くと「すでに日本には180社以上のMVNOが存在する。果たして、この市場にこんなにMVNOが必要なものなのか」と首を傾げる。
この記事について
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2015年8月1日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円)の申し込みはこちらから。
実際のところ、料金プランは横並びのところも多く、取り扱うスマホのラインナップも似たり寄ったりだ。大手キャリア3社でも同質化が進み、差別化が難しいなか、さらに差異が出しにくいMVNOで、ここまで数が増えるのもどうかと思う。
さらに、MVNO市場が盛り上がっているために、これから「いまなら儲かる」と勘違いした企業の参入も増えてきそうな感がある。そんななか、何だか怪しい会社や団体のMVNO参入もあり得そうだ。
そんな胡散臭い会社が格安スマホとして、ユーザーを集めたものの、満足なサービスを提供せずに、逃げてしまうようなことになれば、たちまち「格安スマホ、安かろう、悪かろう」という評価になるのは間違いない。
昨今、格安スマホを持ち上げているテレビの情報番組や一般紙もこぞって「格安スマホの落とし穴」といったような企画を流し始めることだろう。
格安スマホ市場がきっちりとユーザーに支持されるには、こうした「胡散臭い会社」が出ないことが理想だが、現実的には、そういった企業の参入を排除することは難しいようだ。
昨今の「胡散臭いMVNO」に対して、危機感を抱いている筆者はせっかくなので、NTTドコモ・加藤薫社長に「胡散臭い会社がMVNOとして参入してくる可能性がある。ドコモとしてどう考えるのか。接続義務があるので諦めて提供せざるを得ないのか」と聞いてみた。
すると加藤社長は「微妙で難しい問題だ」としつつ「接続義務があり、どんな方も申し込みはできるが、すべてのケースで貸すわけではない。審査をしたうえで判断しており、過去にはお断りをしているケースもある」とのことだった。
「落ちた会社は何が原因だったのか」と突っ込むと「2008年以来、審査をしているが、資金力や、過去の信用、別事業で問題を起こしているかといったことは、調べている」ということだった。
ただ、NTTドコモが審査をしているのは「ドコモに直接、接続しているMVNO」であって、それらの会社がMVNEとして他社のサービスを手がけるとなると、胡散臭い会社どうかの判断はMVNEにゆだねられることになる。
大手MVNOに話を聞くと「何とか仕組み作りをしたいが、どうにもならない。NTTドコモも困っているようだ」と本音を漏らす。
MVNOのなかでも、赤字決算を出すところもあるなど、内情はかなり苦しいようにも見える。となると、切羽詰まって、変な会社に回線を貸し出すMVNEも出かねないような気もするだけに、このあたりは注意深く見守っていた方がよさそうだ。
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