「BIC SIM」を始めた経緯、OCNを加えた理由は?――ビックカメラに聞く 格安SIM戦略(2/2 ページ)
ビックカメラのSIMといえば「BIC SIM」が有名だが、サービスは「IIJmio」と同じ。なぜ最初のパートナーにIIJを選んだのか。そして2015年12月から追加した「BIC モバイル ONE」の狙いは? ビックカメラの担当者に格安SIMの戦略を聞いた。
「ZenFone 5」を契機に端末コーナーも充実
―― 以前と比べて、FREETELのコーナーが大きくなっている印象も受けました。そちらに関してはいかがですか。
藤井氏 そうですね。確かに大きくなっています。FREETELさんは、もともと端末の方で、SIMフリースマホを2013年の冬ごろから展開していました。SIMフリースマホを一堂に集めてコーナーを作った当初は、並べるものがFREETELさんとCoviaさんぐらいしかなかったものですが、そのときからやっています。
―― そう考えると、今は選択肢が多彩になりました。
藤井氏 端末についても、年を追うごとにクオリティが上がり、いい商品が出てくるようになりました。SIMについてはカニバリがある部分はありますが、端末は非常に魅力的で、多くのお客さまに満足いただけていると思います。カニバリがあるといいながらも、SIMの即時発行は有楽町店でできるようにしています。ここも広げていこうとしているところです。
―― 寂しい状況だったSIMフリーのコーナーですが、今ではかなりの面積になっている店舗もあります。転機になったのは、どういった端末でしょうか。
藤井氏 転機といえばASUSさんの「ZenFone 5」ですが、HuaweiさんやFREETELさんの端末も、スペックがどんどん上がり、価格も手ごろになっていて、2、3年前と比べるとものすごく物がよくなっています。お客さまもこのぐらい動作すれば、メインで使えると思っているのではないでしょうか。
―― 端末のコーナーは、意識的に広げてきたのでしょうか。
藤井氏 われわれはずっと大手キャリアさんと商売をしてきて、それもしっかりやらないといけない。一方で、(SIMロックフリー端末は)お客さまが求めていました。それを中途半端にやっても、絶対にうまくいかない。やるのであれば、徹底的にやって、日本一販売できるぐらいにしないと、お客さまにも認知されませんし、市場も広がりません。売り場もどんどん広げていき、いい場所に持っていきました。
もちろん、通話をたくさんする方には、「でも定額はありませんよ」とお話をしますし、「サポートはどうですか」というようなこともたずねます。その結果として、「だったら、ドコモ、au、ソフトバンク」がいいと選んでいくケースもあります。
―― つまり、全体として、携帯電話コーナーが活性化しているということですか。
藤井氏 はい。現状では、そうなっています。
―― 売れ筋は、やはり3万円前後のミッドレンジでしょうか。
藤井氏 ASUSさんだと「ZenFone 2 Laser」、FREETELさんだと「雅(MIYABI)」、Huaweiさんだと「P8lite」ですね。3万円を切るぐらいの価格帯の商品が売れ筋です。
―― もう少し、高い価格帯の端末も出てきていますが、そちらはいかがですか。また、逆に1万円台のような安い端末の動きはいかがでしょうか。
藤井氏 今はあまりないですね。1万円、3万円、5万円があると、大抵の方は3万円を選ばれます。
―― 「松竹梅」があったら、「竹」を選ぶということですね(笑)。
藤井氏 ただ、もう少しすると、MVNOユーザーの中でも買い替えが始まります。今はドコモのスマホに挿して使っている方でも、だんだん端末は古くなっていきますから。そのときに、どうするのか。私は、3万円を超える価格帯のものが、支持されるようになるのではないかと見ています。
取材を終えて:市場開拓のフェーズからは移行しつつある
家電量販店として、早くからMVNO市場の開拓に取り組んできたビックカメラだが、カウンターの設置は終わりつつある。インタビューからは、それに伴い、同社の戦略が徐々に変化していることもうかがえた。BIC モバイル ONEを展開するのも、その一環だろう。1社と密接に組み、新規市場を開拓するフェーズから、徐々に移行しつつあるといえるのかもしれない。
SIMロックフリー端末の販売状況に関しては、一般的な傾向とあまり変わらないようだ。やはりここでも、強いのは3万円を切るミッドレンジモデル。ASUS、Huawei、FREETELなどが、強いブランドになっているという。ただし、藤井氏が指摘していたように、今後は徐々に高い端末も売れるようになる可能性はある。メーカー側も、そうした状況を見越してか、ラインアップを拡充しているため、その動向にも、引き続き注目していきたい。
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