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ドコモ関西が災害/イベント対策を解説、地上176mで大ゾーン基地局のアンテナも確認(2/2 ページ)

NTTドコモの関西支社が、災害対策、イベント対策の取り組みを説明。あわせて、ドコモが全社を挙げて設置してきた「大ゾーン基地局」を公開。緊急時などに出動する移動基地局車に上り、E-Bandで実際に伝送路を確保するまでの手順も体験することもできた。

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地上176m地点の大ゾーン基地局に登ってみた

 説明会のあと、大阪市内にある大ゾーン基地局の鉄塔に登り、アンテナを確認することができた。大ゾーン基地局は大阪府に4カ所あり、そのうちの1つとなる。1つで半径7kmをカバーし、主に緊急通話などを確保する目的で稼働させるものだ。現時点では、幸いにして実稼働の実績はなく、災害時の“備え”として各地に配備が進められている。


大阪市内にあるドコモのビルに設置されている鉄塔。ここに、大ゾーン基地局が配置されている

 今回の登った大ゾーン基地局は、地上176m地点に設置されたもの。高い場所から電波を一気に飛ばすことで、カバー範囲を広げる狙いがあるようだ。176m地点までは2人乗りのエレベーターで登り、アンテナが置かれている様子を確認することができた。ちなみに、基地局のある場所は、民家のベランダのように柵が低く、足元も格子状になっており、地上がほぼ丸見えの状態。特に高所恐怖症ではない筆者も「怖い」と感じるほどの高さだった。


ハーネスやヘルメットを装着し、小型エレベーターで地上176mまで登った

大ゾーン基地局のアンテナ。実際に活用されたことは、まだないという

半径7kmをカバーするため、見晴らしのいい場所に設置されている

足元をのぞくと……地上がほぼ丸見えだ

E-Bandでの伝送路確保も体験

 続いて、移動基地局車に設置されたE-Bandの無線エントランスを使い、伝送路を確保する様子を体験することができた。E-Bandとは70/80GHz帯のことで、周波数が高い分、広い帯域を確保できる。一方で障害物などに弱く、指向性が強いため、アンテナ同士をピンポイントで合わせる必要がある。携帯電話に使われる周波数も、高くなればなるほどエリアがスポット的になるが、それをよりシビアにしたものと考えれば理解しやすいだろう。

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E-Bandで伝送路を確保する移動基地局車

車上に登り、アンテナを確認する筆者(撮影はドコモ関西支社 広報室)

 ドコモでE-Bandを使う際には、移動基地局車に上り、スコープで微調整をしたうえで通信を行っている。今回は、まず移動基地局車に筆者が上り、スコープで通信を行うアンテナを確認。その後、地上側からアンテナの角度を実際に調整して、伝送路が確保されている様子を確認した。アンテナの調整は非常にシビア。実際にやってみると、思っていた以上にアンテナが動いてしまい、ピンポイントで位置を合わせるのは非常に難しいことが分かった。


スコープを使って、目視でアンテナの位置を合わせる必要がある

移動基地局車はこのアンテナと通信し、伝送路を確保する

タブレットで細かな位置を確認しながら、アンテナの方向を調整する筆者

上下の角度調整は、写真左にあるボタンで行う

 災害時に通信が途絶しないことを使命に掲げ、対策を続けているドコモだが、今回の体験からもその努力の一端が垣間見えた。筆者はごく一部に触れただけで、正直なところ、“社会科見学”の域は出ていない。それでも、話を聞いたり、訓練の様子を取材したりすることで、ドコモの災害対策の“本気”を、より強く感じられた。

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