忘れないで!「BlackBerry」という名機があったことを:SIM通
BlackBerryが端末の自社生産から撤退する、というニュースに驚き、悲しみを覚えた人も多いのではないでしょうか。と、いうことで今回は、BlackBerryの素晴らしさ、日本での生い立ちなどをまとめたいと思います。
2016年9月28日、スマートフォンの老舗メーカーBlackBerryは、端末の自社生産から撤退することを明かし、今後、BlackBerryブランドの端末は外部委託で出していくとを発表しました。
どーも、モバイルプリンスです。日本市場では「広く売れた機種」と言いがたいBlackBerryですが、iPhone・Android登場以前はスマートフォンの覇権を握っていた時期もあるだけに、今回のニュースに驚き、悲しみを覚えた人も多いのではないでしょうか。
かくいう私も、過去7年で6台のBlackBerryを使い、愛していたユーザーの一人。もちろん、泣きましたし落ち込みました。しかしながらGalaxy Note 7発火問題やiPhone 7発売直後という時期だったこともあり、あまり話題に上がらなかったように感じます。
と、いうことで今回はBlackBerryの素晴らしさ、日本での生い立ちなどをまとめたいと思います。
最大の特徴はQWERTYキーボードだ!
BlackBerryはBlackBerry社(旧リサーチ・イン・モーション)スマートフォン。BlackBerry OS7までは、ハード・ソフト共に自社で手がけていたため、一体感のある気持ちの良い操作感がウリでした。そうした意味では、立ち位置は非常にiPhoneと似ています。
BlackBerry最大の特徴は一目見ただけですぐに分かる、QWERTY配列のキーボードです。一部、 キーボード非搭載の機種もありますが、このキーボードこそがBlackBeryyがBlackBerryのアイデンティティであると言えます。
PCのキーボードのように余裕を持ったサイズでは無いため、慣れるまで少し時間がかかりますが、ひとたび身体に馴染むと他の機種は使えなくなる程の中毒性がありました。
iPhone・Androidのフリック入力も、効率よく文字を打ち込むことができますが、ハードキー独自の打鍵感、クリック音..文字を打つ喜びはハードキーに勝てないと私は今でも思っています。
キーボードは文字入力だけでなく、ショートカットキーとしても使えます。例えば「Tを長押しすると田中さんに発信」「Bを押すとブラウザ起動」など。堅実な文字入力と、スマートなショートカット。ソフトとハードを手がけるメーカーが同一であるがゆえの一体感。
BlackBerryの魅力はそんなところにありました。
実はAndroidスマートフォンも、黎明期にはハードキーを搭載した端末が数多く作られていました。
しかしながら、Androidはタッチパネルが前提のOSであるため、キーボードの効果をイマイチ発揮させることができませんでした。その結果、2016年現在、QWERTYキーを搭載したAndroidスマートフォンは絶滅したと言っても良い状態です。
QWERTYキーファンたちの今後は、外部委託されるBlackBerryスマートフォンにかかっています。
日本におけるBlackBerry(OS 7編)
BlackBerryの魅力がわかったところで、日本におけるBlackBerryの歴史を振り返ってみましょう。
2006年9月、NTTdocomoが「BlackBerry 8707h」を法人向けに提供を発売しました。BlackBerry Enterprise Service(以下、BES)という独自システムで、強固なセキュリティと手軽なセットアップが魅力で、外資系ビジネスマンのよきパートナーとなりました。
2009年2月には、BlackBerry Bold 9900がdocomo Proシリーズとして発売。スマートフォンとしての基本スペックが大きく向上、個人向けシステムのBlackBerry Internet Service(以下、BIS)が使えるようになっていることもあり、店頭に並んで話題となりました。
その後、年に1台のペースでdocomoから発売されますが、2012年発売のBlackBerry Bold9900を最後に店頭から姿を消します。
BlackBerryが日本で伸び悩んだ理由は2つあると考えています。
1つは月額料金の問題。料金プランは他のスマートフォンと同じでしたが、ISPサービスのBES・BISの価格が月額1,500円(税抜)と、他のスマートフォンよりも約1,200円も高かったのです。
2010年12月に月額490円(税抜)まで値下がりしますが、時すでに遅し。iPhone 4や、Xperia、Galay Sなどのライバルスマートフォンが急激に伸びていたため、店頭でのBlackBerryの存在感が徐々に失われているばかりでした。
BES・BISにはパケット圧縮機能があるため、通信量を節約することができましたが、当時の契約体系は通信量上限のない「完全使いホーダイ」システムだったため、ほとんど意味を持ちません。「当時、格安SIMが普及していて、1GBプランで使えてたら……」と、言っても仕方ないことですが、ファンとしてはそうしたタラレバを考えてしまいます。
伸び悩んだ2つ目の機能は、アプリです。TwitterやFacebook、LINEにEvernoteなどの「OTT」に分類されるようなアプリは揃っていましたが、タッチパネルを活用したゲームや、写真加工アプリ、飲食店のクーポンアプリは皆無。
一方のiPhoneやAndoridは、BlackBerryとは対極的に、アプリの種類・多様性を武器にどんどんシェアを伸ばしていきました。前者の「金額」に関しては日本固有の課題、後者の「アプリの種類」に関してはグローバル共通の課題です。
その結果、iPhone・Androidの二強体制が出来上がり、Windows PhoneやFirefox OSなどがその牙城に食い込もうとしましたが、結果が出ていないのが現状です。
日本におけるBlackBerry(OS 10編)
そんなBlackBerryでしたが、AndroidをベースとしたOS10を2013年にリリースし、タッチパネル操作に力を入れてきます。BlackBerry OS10を搭載した「BlackBerry Passport」「BlackBerry Classic」は2015年にSIMフリースマートフォンとして、家電量販店で販売されました。
また、OS10よりBES・BISの契約が必須ではなくなったため、格安SIMを入れての運用ができるようになりました。とはいえ、その動きすらもすでに焼け石に水。iPhoneやAndroidに勝てないまでも、独自の存在感で地味に残って欲しいと思っていたBlackBerryでしたが、今回の撤退で儚い夢になりそうです。
それでも僕らはずっと待ち続ける!
BlackBerryがハード生産からは撤退するものの、名前は受け継がれて外部委託で発売するとのこと。各種認証機関から漏れ伝わってくる情報から、BlackBerryブランドのスマートフォンの存在は確認できるものの、一体どんな機種であるかは皆目見当もつきません。
しかし、一度は愛したBlackBerry、唯一無二のBlackBerry、僕らの青春BlackBerry。
「あまり期待はしていない」と強がりながらも、再び出会うその日を心待ちにしています。
(文:モバイルプリンス)
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