一般層にも広がり約70万契約 好調「mineo」を支える“コミュニティー”:MVNOに聞く(4/4 ページ)
ケイ・オプティコムが運営する格安SIMサービス「mineo」の特色は、ネットワークやサービスだけではない。同社は「Fun with Fans」をブランドステートメントとして掲げ、ファンの育成にも注力する。そんなmineoの事業戦略を聞いた。
iPhoneユーザーの比率が最も高い
―― 次に、端末の売れ筋について教えてください。ラインアップの方針も合わせてお話いただけますか。
上田氏 できるだけ、Aプラン、Dプランの両方で使える端末で、かつ価格帯の幅も広くそろえた方がいいと思っています。パッと見たときに、10端末ぐらいが選べるラインアップにはしていきたいですね。ただ、増やしてはいますが、セット率はそんなに上がっていない状況です。
一方で、最近は「nova lite」を扱うようになり、それは売れています。こんなに売れるなら、最初からやっておけばよかった(笑)。あとは、arrowsも固定的に売れています。
―― nova liteはMVNO専売モデルですし、arrowsも家電量販店でそこまで強くプッシュしていない印象があります。そういう意味だと、すみ分けができているのでしょうか。
上田氏 そうですね。どんな層に響くのかも、違うのだと思います。リテラシーがそんなに高い方ではない人が安心して買える価格だったり、国産でかつ防水・防塵(じん)であったり、そういうところが受けているのではないかと思います。
―― iPhone率が高いMVNOというデータもありますが、これはいかがですか。
上田氏 (MMD研究所の出した)iPhoneを使っている人が、どのMVNOを選ぶのかという調査で1位になりました。実際、mineoの中で見ても、iPhoneの比率が一番高いですね。3~4割ぐらいがiPhoneで、その次がXperiaですが、割合はiPhoneの半分以下です。SIMフリーもありますが、キャリア(MNO)でiPhoneを買った方々が、端末そのままで入ってくるということが多いですね。
―― そこまでiPhone比率が高いと、正式に取り扱ってもいいぐらいですね。
上田氏 売りたいな、というのはあります。今、キャリア(MNO)でiPhoneを買ってそのまま移ってきている方も、何年か続くとバッテリーの持ちが悪くなったりして買い替えることになります。そのときに、やはりiPhoneがいいとなると、SIMフリーのiPhoneを買うという選択肢はありますが、mineoのラインアップにあった方が、継続を検討してもらいやすくなります。
―― 認定整備品や中古という選択肢はいかがでしょう。
上田氏 安定的に調達するのが難しいのがネックですね。やはりある程度の数は出さないといけないので。
―― 一方で、UQ mobileやY!mobileなどのサブブランドは、iPhoneを扱っています。こうしたサブブランドの台頭について、ご意見があれば教えてください。
上田氏 今、総務省で市場検証会議をやられていて、その議題に(サブブランドが)上がっています。基本は、その会議の動向を注視していくことになると思います。(会議は)MVNO市場全体が健全な環境になるということで、その阻害要因になるのであれば是正していくという流れになっています。それを注視するというのが、われわれのスタンスです。
取材を終えて:積極的な情報公開が安心感につながる
mineoが躍進した要因の1つは、やはり独特なコミュニティー戦略が功を奏したことにあったようだ。上田氏とのやりとりからは、ファンを重視する同社の姿勢が伝わってきた。情報公開に積極的な姿勢は、ユーザーにとっての安心感にもつながる。ともすれば、ユーザーをだますような宣伝をするMVNOもあるが、市場を持続的に拡大させるためには、このような姿勢が大切だと感じた。
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