「月額700円でも元が取れる」 IIJmioでコンテンツ取り放題サービスを導入した理由:MVNOに聞く(1/2 ページ)
IIJが、「IIJmio」向けに「取り放題.jp&グルメギフト得々オプション」を開始。約110のコンテンツが取り放題になるほか、グルメギフトも毎月もらえる。月額700円はオプションサービスでは高めだが、なぜIIJはこのサービスの提供を決めたのか。
インターネットイニシアティブ(IIJ)が11月1日から、MVNOサービス「IIJmio」向けのオプションサービスとして、「取り放題.jp&グルメギフト得々オプション」を提供している。利用料金は月額700円(税別)。
iPhoneとAndroidを対象とした100以上のスマートフォン向けコンテンツが使い放題になるほか、コンビニエンスストアやファストフード店などで特定の商品と交換できるデジタルクーポンが毎月配布される。定額でコンテンツが取り放題で、食品がもらえる施策……といえば、大手キャリアも実施している。食品がタダになるのはソフトバンクの「SUPER FRIDAY」、auの「三太郎の日」がおなじみだ。
この取り放題サービスは、パラダイムシフトが提供している「取り放題.jp」というプラットフォームを利用したもので、デジタルクーポンの配布はIIJ独自の施策。取り放題.jp自体は、既にU-NEXT、もしもしモンキー、スマモバ、レキオスモバイルなどが採用している。
取り放題.jpはどんなユーザーが利用しているのか。またIIJが取り放題.jp&グルメギフトの採用を決めた理由はどこにあるのか。パラダイムシフト 代表取締役の牟禮(むれ)知仁氏と、インターネットイニシアティブ MVNO事業部 MVNO技術開発部 コンシューマサービス企画課長の早坂忍氏に話を聞いた。
MVNO向け取り放題サービスは右肩上がりで伸びている
大手キャリアが提供している取り放題サービスは、例えば加入しないと月々の割引(毎月割や月月割)が減るなど加入が前提になっているケースが多く、いい印象を持たない人は多いだろう。また、格安SIMの利用者には、そもそも毎月の通信費を極力抑えたいというニーズがあるため、わざわざ別途料金を払ってまで、取り放題のオプションサービスを利用したいのかは疑問に思う人も多いだろう。
だが牟禮氏によると、加入者数は非開示ながら、ユーザー数は右肩上がりで伸びているという。
これまで他社で提供してきた取り放題.jpのユーザー属性(2016年8月時点)は男性が62%、女性が38%で、年齢別だと30代が最多の27%、40代が26%と続く。50代が13%で、「意外と40~50代が多い」(牟禮氏)のは、医療系のサポートが受けられる「カラダとココロの電話サポート24」が効いているそうだ。同サービスは、医療、健康、子育て、介護について、24時間365日無料で相談ができる。単独では提供されておらず、取り放題.jp会員限定のサービスとなる。
他に、占い、ニュース、天気予報、LINEで使えるスタンプなども人気を集めているという。
「CP(コンテンツプロバイダー)からも引き合いはいただいていますが、110ぐらいの数を保ちながら、コンテンツは入れ替え制にしています」と牟禮氏は説明する。やみくもに増やさない形にしているのは、「埋もれるコンテンツ群が出てくる」ため。特に人気の高いコンテンツを優先的に残している。
OS別の比率はAndroid:iOSで6:4。コンテンツの大半がアプリではなく、ブラウザで利用できるもの。アプリにしないのは、App StoreはAppleの審査が必要になり、提供のハードルが高くなるため。AndroidだとGoogle Play以外で配信されているアプリをダウンロードするには、「提供元不明のアプリ」をオンにする必要があるため。これをオンにする操作は初心者にはハードルが高く、「インストールして大丈夫なの?」という漠然とした不安を抱かせる恐れが高い。ブラウザなら簡単に、かつ安心して使ってもらえるというわけだ。
IIJが取り放題サービスを導入した理由
MVNOが取り放題サービスを導入するメリットとして、当然ながらARPU(1回線あたりの売り上げ)の向上が挙げられる。だが、ユーザーのニーズとコンテンツが合わなければ意味がない。特にIIJはリテラシーの高いユーザーが多く、このようなサービスは向かないのでは、とも思われるが……。
早坂氏は「もともとわれわれも、オプションサービスは提供していましたが、端末の補償やセキュリティ、データのバックアップなど、実用性の高いものが中心でした。キャリアと違って、MVNOに来る方は、端末とSIMを自分で選んで購入している人が多かった」と振り返る。
しかしIIJmioを取り巻くユーザー層は、徐々に広がりつつある。「最近、販路に追加した日本郵便では、ITにあまり詳しくない方や、シニアの方が申し込まれるケースが増えています。(SIMと端末をセットにした)『コミコミセット』も始めましたが、そうした方々に向けて、セットで使いやすい状況を作ることが、新しいターゲットに対するアプローチだと思っています。その中でパラダイムシフトさんからご提案いただいた取り放題.jpは、買って楽しい、エンタメ性の高い取り組みだったので、採用を決めました」と早坂氏は話す。
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