「au PAY」のクーポンがリニューアル 小規模店舗でも配信可能に(3/3 ページ)
KDDIが「au PAYアプリ」のクーポン機能を10月19日にリニューアルする。それに合わせて、加盟店向けの新サービス「au PAY グロースパック クーポン」の提供も開始される。
後発だからこそ“分かりやすさ”を重視
au PAYは、スマホを持っていればKDDIと沖縄セルラー電話の携帯電話サービス(au/UQ mobile/povo)を契約していなくても利用できる。ユーザー数は、2022年9月末時点で3,000万人超で、クレジットカードの「au PAYカード」の会員数を合算すると3800万人だという。会員数的には、両社の通信サービスの契約数(約3000万契約)と近い規模感となっている。
KDDIとしては、この決済会員基盤に1億超の会員を有するポイントプログラム「Ponta(ポンタ)」を組み合わせることで、通信分野にとどまらないサービス拡大を進めていくという。
競合他社では、ソフトバンクグループの「PayPay(ペイペイ)」は2020年12月から小規模店舗向けに「PayPayクーポン」を提供しており、NTTドコモの「d払い」では、2021年1月に開始した「スーパー販促プログラム」の中で加盟店向けのクーポン配布機能を提供している。こうして見ると、au PAY グロースパックはスマホ決済アプリの加盟店向け集客機能としては“後発”となる。
au PAYを担当するKDDIの菊池良則氏は、グロースサービスについて「au PAYでは“分かりやすさ”を重要視した」と説明する。加盟店のクーポンを登録ページはスマホやタブレットに最適化されており、テンプレート機能やプルダウンメニューなどを活用することで、店舗側の実務負担を軽減している。また、集客したい時にすぐ利用できるサービスとするために、クーポン登録後の「審査」は行わずに即時配信する仕組みとした。
クーポンの配信手数料の率についても、競合他社では「値引き後の決済金額の3%」といった料率とする例があるが、au PAYグロースパック クーポンでは「1件当たり20円」と固定額にしている。これもは分かりやすさを重視した結果だという。
固定費となる月額料金は「1加盟店あたり500円」としており、加盟店が複数店舗を出店している場合でも月額料金が追加されることはない。
先述の通り、このサービスでのクーポン配信は当初、ユーザーの位置情報や契約住所などの情報を基に行われる。今後は天気予報や購買情報を活用したクーポンの配信を行うことも検討しているという。一方で、スマホのプッシュ通知機能によるクーポン配信は、当初はあえて実装しない。ユーザーのノイズとなりかねないと判断したためだ。
集客サポート以外にも、au PAYグロースパックでは「店舗運営サポート」「経営サポート」といったサービスを追加する構想があるという。店舗運営サポートでは、店舗インフラの提供支援や従業員への給与支払い、福利厚生サービスの提供、経営サポートでは資金調達や保険サービスの提供が検討されている。これらの追加機能の提供時期は未定としている。
関連記事
後発だが勝機あり? スマホ決済「au PAY」の狙いと課題
4月9日にスタートする「au PAY」は、キャリアとして最後発になるQRコード決済。FeliCaなどの非接触決済と比べ、導入が容易なことから、キャリア以外からもさまざまなプレーヤーが参画している。あえてKDDIがau PAYを開始する勝算はどこにあるのか?au WALLETポイントが「Pontaポイント」に統合 Pontaアプリとローソンアプリには「au PAY」機能を搭載
KDDIとローソンなど4社が協業で合意。KDDIの「au WALLET ポイント」が2020年5月をめどに「Pontaポイント」に統合される他、ローソンアプリとモバイルPontaアプリに「au PAY」機能が統合される。【更新】スマホ決済や6Gの動きで遅れていないか? +メッセージの開放は? KDDI株主総会の質疑応答
KDDIが6月23日、第37回定時株主総会を開催した。2021年度はKDDIにとって、中期経営計画の最終年度に位置付けられる。高橋誠社長は、「マルチブランドによる5G利用の積極促進」「au経済圏拡大の取り組み」「社会のデジタル化推進に向けた取り組み」という3つの柱を改めて説明した。「決済手数料はトントンぐらいでいい」 PayPay馬場副社長が語る加盟店戦略
PayPayが、売上高10億円未満の中小店舗に対する決済手数料を有料化する。1.6%という決済手数料は、アンケート調査から「これぐらいならば許容される」という見込みをもとにした数字だという。この手数料に加え、「PayPayマイストア」をはじめとするサービスで利益を積み上げていく。ドコモが頭を悩ませる「シニアのd払い利用」 井伊社長が考える打開策は?
NTTドコモの井伊基之社長のインタビュー最終回では、スマートライフ事業に含まれる、dポイントクラブやd払いの戦略や課題についてうかがった。d払いやdポイントを使えないユーザーに対していかに訴求するかを課題としている。ドコモショップがそれを解決する場になるかもしれない。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.