ネットもリアルも“ドタバタ”――大晦日の「エアノベル#15a24」奮闘記(前編)(3/3 ページ)
2009年の大晦日、小説とリアルがリンクした壮大な企画に参加すべく集結した“捜索隊”は、セカイカメラを使って東京各地に浮かぶ「男」の残留思念を探した。「裏切り者」に気を付け、ネット上で生暖かく見守る「みんなの力」を借り、寒空の中を12時間駆け回った彼らに待っていたものは……? イベントの様子を前後編でリポートする。
合流する方を待ちながらTwitterのタイムラインをさかのぼってみると、「男はMの頭文字に執着している」などヒントがパラパラと出ていました。さらに、新宿メンバーが続々とエアタグを見つけている様子。内容は「ここじゃない……」など、謎めいたテキストのよう……うーむ、これでは何が何やら……。と、ここに来て筆者に1つのひらめきが。
セカイカメラにはエアタグの投稿者を登録(フォロー)する機能があります。街中に浮かぶエアタグを選択し、プロフィール画面から投稿者をフォローすることで、Twitterのようにユーザーの振る舞いがタイムラインとして表示されます。つまり、男のエアタグを見つけ、フォローすれば、タイムラインから男のエアタグ履歴がリアルタイムに分かるのです。
「まずは新宿にいって、男をフォローしよう!」――。合流予定の捜索者とは残念ながら連絡が取れなかったので、移動することをTwitterで伝え、明治神宮を後にしました。Mの頭文字に執着しているというヒントを信じ、丸の内線を捜索することも想定しつつ、新宿三丁目に向います。結論としては丸ノ内線は男の足取りと関係なかったのですが、新宿三丁目で男のエアタグを発見し、フォローすることに成功しました。Twitterのタイムラインもますます盛り上がり、ハッシュタグを解析する「hashtagsjp」から#15a24が“アツい感じ”のハッシュタグ(のちに“激アツ”に進化)として認定されるなど、物語が大きく動き出した感じです。
男のエアタグもぽつぽつと増え、写真のエアタグも投稿されはじめていました。捜索隊が写真エアタグの画面をキャプチャーし、Twitterに放流すると、協力者が場所を探します。「これはどこ?」「谷中銀座」「これはアメ横? ご意見求む」「西日暮里では?」――捜索隊と協力者が力を合わせて謎に挑む構図が、段々と板に付いてきていました。しかし、Twitterのタイムラインの流れが速すぎることに加え、ハッシュタグを付けても検索に引っかからないつぶやきも続出し、いい具合の「穴」が参加者を翻弄します。……エアノベル、面白すぎる!!
と、そこに1枚の写真が新たにタイムラインに投下されました。どうやら男が残した「池袋東口」の写真のようです。現地に向っている捜索隊とTwitterで連絡を取り、合流することにしました。合流相手は2人。万が一、2人とも裏切り者だったら……まあ、その時はその時!
予備バッテリー、動かず。「eneloop mobile booster」大活躍
午後3時ごろに池袋に着いた筆者のiPhoneは、バッテリー残量が早くも20パーセントを切っていました。Twitterに加え、バッテリー消費の激しいセカイカメラを頻繁に利用したためです。用意した予備バッテリーをiPhoneにつなぎ、充電……、ん、反応しないな……もう一度つないで、充電……。
まだ5回ぐらいしか使っていないモバイル端末用バッテリーが早くも壊れています。電源ランプが付いたまま、一切の操作を受け付けません。あわててヨドバシカメラに駆け込み、「eneloop mobile booster」を購入。財布から樋口一葉が去っていきました。思わぬ出費ですが、寒さと焦りで金銭感覚は完全麻痺。ちなみにこのバッテリー、大容量な上に給電用のUSBポートが2つあり、エアノベルで大活躍しました。
ポケットにバッテリーを押し込み、iPhoneから充電用のコードを垂らしながら待ち合わせ場所へ。待っていたのは、メーリングリストや#15a24のジオタグをグーグルマップに表示するページを作成した、参加者の中心的な人物@epics_jpさんと、今回の企画をきっかけにiPhoneを買ったという@nobuhironさん。マクドナルドで電源を確保しつつ作戦会議に入ります。
ちょうどこのころ、ある参加者に「A駅があやしい」という情報が。エアノベルでは、セカイカメラやTwitterで#15a24付きの投稿が行われると、その回数に応じて「中の人」がヒントを参加者に送ります。嘘情報も混じっているというシビアな仕様で、鵜呑みにはできないのですが、A駅……秋葉原? セカイカメラで男のエアタグ履歴をチェックすると、萌え系イラストやジャンク品の写真が……完全にアキバです。
「A駅があやしい」というのは今思えば別の場所を指していたのですが、我々池袋捜索隊は秋葉原に向うことを決定。@epics_jpさんは、単独で行動している他のメンバーと合流するため、別行動を取ることに。このころ、時刻は4時を過ぎていました。うっすらと暗くなる空、かなり寒い。
この後、“コミケ帰り”や“群馬在住”など新たなメンバーを迎え、捜索隊は寒さに思考能力を奪われながらも男の足取り、さらに男を捉える際に必要な「合い言葉」を探します。協力者の支援も強力になり、意味深なヒントを解読しようと議論が白熱。最終的に、バラバラに行動していた捜索隊が集結し、約20人の大所帯となって男に挑むことになるのですが、その様子は後編でお伝えします。
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