“3D酔い”を防ぐ高品質な3Dコンテンツを作成――Movidiusの「Myriad 3D」:スマホやタブレットに搭載(2/2 ページ)
Movidiusが発表した携帯端末向けのビデオプラットフォーム「Myriad 3D」を採用すると、高品質な3D画像や映像を作成できるようになる。Myriad 3Dはモバイルの世界に何をもたらすのか。同社CEOのショーン・ミッチェル氏が説明した。
ワンセグは3D化には向かない?
2Dから3Dへの変換は基本的にどんなコンテンツでも可能で、スマートフォンやノートPCなど「すべてのディスプレイに対応できる」(ミッチェル氏)。
日本のケータイにMA1133を搭載する場合、例えばワンセグの映像をリアルタイムで3D変換して視聴するといったこともできるが、ワンセグ映像は解像度とフレームレートが低いので、3D化には適していない。実際にデモ機で変換したワンセグ映像を見てみたが、もとの映像が粗いので映像がダブっているように見え、3D酔いしそうになった。ただ、ミッチェル氏によると、Myriad 3Dのソフトウェアで、ワンセグの解像度やフレームレートを向上させることは可能になる予定。
タッチパネルを用いた操作にも対応している。デモ機では「再生用」と「操作用」の2つのディスプレイを使い、操作用ディスプレイではタッチパネルを使って3D変換や編集などの操作ができた。このように、投入地域や採用メーカーによって、MA1133の細かい仕様は変更できる。日本のメーカーがどのようなカスタマイズを施すかは興味深いところだ。
すべての3Dエコシステムに貢献したい
ミッチェル氏は日本市場については「特に重視している」と話し、すでにMyriad 3Dを採用するメーカーとの話し合いも進めているという。「2011年早々には大量生産に入り、(採用メーカーについては)数カ月後に発表できる」。MA1133が搭載された製品が市場に投入される時期は「2011年3月〜4月ごろ」だが、ケータイの投入は「もう少し後になる」ようだ。
Myriad 3Dの対応OSは「当初はAndroidをターゲットにしていた」(ミッチェル氏)が、制限はなく、ほかのOSでも利用できる。スマートフォン以外のフィーチャフォンにも搭載は可能だ。Myriad 3Dを投入する地域は「米国、韓国、台湾を中心に全世界が対象だが、日本はこれまでも長期間取り引してきた」ので、日本には比較的早いタイミングで導入されるようだ。
さらに、端末メーカーだけでなくCP(コンテンツプロバイダー)とも連携し、3Dコンテンツ事業で協業をするといったことも視野に入れているという。ミッチェル氏は「すべての3Dエコシステムに貢献したい」と力を込める。
ハードウェアではシャープが携帯端末向けの3D液晶を発表しており(2010年度下期から出荷予定)、モバイルの世界にも3D化の波が迫りつつある。Myriad 3Dがどのような形で日本市場に登場するのか。その動向に注目したい。
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