ヤフー、「音声アシスト for Android」公開――音声で路線検索や会話ができる:Siriがうらやましい人に朗報
ヤフーがYahoo!ラボでAndroid向け「音声アシスト」アプリを公開した。音声で経路探索や天気予報を調べたり、キーワード検索、会話を楽しんだりできる。
ヤフーが4月2日、Yahoo!ラボで「音声アシスト for Android」の配信を開始した。利用料金は無料。対応機種はAndroid 2.2以上。
音声アシストは、スマートフォンやタブレットに向かって話しかけると、目的の情報を得たり会話を楽しんだりできるサービス。iPhone 4S向けの「Siri」や、ドコモがAndroid向けに提供している「しゃべってコンシェル」に近いが、ヤフーの音声アシストは、Yahoo! Japanで提供している経路探索、天気情報、検索の3サービスと連動しているのが特徴だ。
経路探索では、「大手町から六本木まで」などと話すと、出発地から目的地までの乗り換え案内や運賃、時間などを教えてくれる。GPSで現在地情報を取得して最も近い駅から路線を確認したり、経路検索後に終電や始発を検索したりもできる。検索結果は基本的に最短距離が1つ表示されるが、「ほかの経由は?」「入れ替えて」などと話して検索し直すことも可能だ。東京都と愛媛県の大手町駅など、複数の地域に同じ駅名がある場合、現在地に近い駅を検索してくれる。東京やその近郊で利用すると、東京都の大手町駅を検索してくれるわけだ。GPS機能をオフにしていても、例えば「新宿から大手町まで」だと東京の大手町で検索するなど、検索内容から一番使われそうな場所の駅を判定してくれる。東京の日本橋(にほんばし)と大阪の日本橋(にっぽんばし)など、異音同字の駅名も認識してくれる。
天気情報では、当日や1週間の天気、降水確率、最高気温などを教えてくれる。検索では、話した言葉でYahoo! JAPANのキーワード検索ができる。「○○の写真を見せて」と言って画像を検索することも可能だ。「お腹が痛いです」と言うと「大丈夫ですか。無理せず医師にご相談を」との返事とともにYahoo!ヘルスケア家庭の医学を紹介したり、「10年前の今日は何曜日ですか?」と聞くと「2002年4月2日、火曜日、先負です」と答えたりするなど、気の利いた回答も見られる。「あなたは誰ですか?」と聞くと「中の人などいません」と答えてくれた。Siriのように会話して遊ぶ(?)楽しみもありそうだ。こうした雑談には1000パターン用意されており、1つの質問で複数の回答パターンもあるそうだ。愛の告白や「ソフトバンクの社長の名前は?」という質問にも答えてくれるなど、随所に「ネタ」が仕込まれている。
音声アシストにはアドバンスト・メディアの音声認識技術と、エーアイの音声合成技術を用いている。アプリの開発はヤフーが担当している。ヤフー R&D統括本部 企画 リーダーの西田衣織氏によると、Yahoo! JAPAN研究所が研究している日本語解析技術を同アプリの自然言語処理に応用しているという。「検索で入力した文字を打ち間違えても、何を検索したいのかといったことを研究しています。これを応用して、話した言葉から何を言っているのか、何を求めているのかを判定しています。ただ、会話言葉を集めるのは今回から初めてなので、好き勝手に話すことから意図するキーワードを引き抜くのはハードルが高かったですね」(西田氏)。音声認識の精度は端末のマイク性能によって多少の差があるが、「雑踏だと(顔をマイクに近づける)通話スタイルでないと聞き取りにくい場合があります」(西田氏)とのこと。
質問に対する答えの音声読み上げも、違和感のないイントネーションになるようこだわった。経路検索では、日本の約1万2000駅をすべて洗い出し、正しい発音で読めるようイントネーションをチューニングしたという。方言の聞き取りはまだサポートしておらず、現在は「日本語の標準語」のみで利用できる。今後のサービス向上のため、音声アシストで使われた発話データはヤフー側が収集する。Siriのように内部のアドレス帳と連携して電話をかけたりメールを送ったりはできないが、今後はYahoo!メールやYahoo!カレンダーなどYahoo!のサービスとの連携をさらに進めていく。
関連キーワード
検索 | Yahoo! | ヤフー(Yahoo!JAPAN) | Android | 日本 | 天気 | Siri | 日本語 | Yahoo!ラボ | 天気予報 | アドレス帳 | アドバンスト・メディア | Android 2.2 | カレンダー | 無料 | 自然言語 | ネタ | 研究開発 | しゃべってコンシェル | 音声認識 | 音声合成 | 路線検索 | Yahoo! カレンダー | Yahoo!メール
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「iOS 5.1」提供開始――Siriが日本語対応、au版iPhone 4SでFaceTimeとiMessageが利用可能に
3月8日、iOSの最新バージョン「iOS 5.1」が提供された。iPhone 4SのSiriが日本語に対応したほか、au版iPhone 4SでFaceTimeとiMessageが利用可能になった。 - なにこれ便利:速攻で日本語版「Siri」に告白してみた
Siriは、落ち着いた大人の女性の声だった。そして、男のあしらい方まで身につけた有能な秘書であった。 - 「Siri」とは何が違う?:ドコモの音声エージェント「しゃべってコンシェル」、開発の狙いとは
ドコモがスマホ向けの音声エージェントサービス「しゃべってコンシェル」を発表した。音声認識機能はAndroidの基本機能にも含まれているが、ドコモではコンテンツへの導線確保を目的に提供する。 - 「音声認識ブラウザ」発表:Googleは競争相手ではない?――B to Bと多言語化に注力するアドバンスト・メディア
モバイル分野ではこれまでコンシューマー向けに音声認識サービスを提供してきたアドバンスト・メディアが、今後は法人向け業務アプリの開発にも注力する。また、iOSだけでなく、AndroidやWindows Phone 7向けアプリも開発していく。 - ヤフー、地盤強度チェックアプリ「G-Banz」に4種類の地図情報を追加
ヤフーが、地盤強度を手軽にチェックできるAndroid向けアプリ「G-Banz」に、航空写真・地形図・鉄道路線図・水系図といった4種類の地図情報を追加した。 - 「Yahoo!ラボ」オープン 実験的技術など公開
Yahoo!JAPANの実験的な技術やサービスを公開するラボがオープンした。一般ユーザーからのコメントも受け付ける。