HTCが日本特化スマホを開発した理由/絵文字統一で変わること/MMS対応でau版iPhone 4Sが優位に?:石野純也のMobile Eye(4月9日〜4月20日)(2/2 ページ)
この2週間は後半に大きなニュースが集中した。特に注目は、発表されたばかりのauスマートフォン「HTC J ISW13HT」だ。事業者間の絵文字統一に向けた取り組みや、au版iPhone 4SのMMS、ビジュアルボイスメール対応などもピックアップした。
au版iPhone 4SがMMSなどに対応、メール機能ではソフトバンク版を上回る
14日にはKDDIが、au版iPhone 4SのMMSやビジュアルボイスメールに対応をアナウンスした。MMSの利用を開始するには、「キャリア設定」をアップデートしたうえで、「メッセージ」アプリを起動し、宛先に「#5000」、本文に「1234」と入力してメールを送信する。すると、URLが記載されたメールが送られてくるため、そこにアクセス。あとはサイトの指示に従って設定を行えばよい。すでにau版iPhoneではEメールアプリで「@ezweb.ne.jp」のメールを送受信できたが、プッシュでの受信はどちらか一方でしかできない仕様だ。
どちらを利用するかは、メリットとデメリットを見極めて判断したい。MMSはチャット形式で吹き出しが表示され、やり取りした相手ごとにメッセージが分けられる。会話の流れが一目瞭然で、話(メール)が弾みやすいのがメリットだ。その半面、長文だと見にくかったり、画像が本文内に挿入されないという欠点もある。デコレーション絵文字を使うと、別の吹き出しに画像だけが表示され、一見しただけでは意味が分からない文章になってしまうこともある。逆に、メールアプリは1通ごとの内容が非常に見やすい。HTMLメールにも対応しているため、デコレーションメールも受信だけなら可能だ。表現力という点では、メールアプリに軍配が上がる。ただし、チャット形式の方が、やはり気軽でやり取りの経緯が分かりやすい。好みに応じて、どちらか1つを選ぶといいだろう。
では、2つのメール方式をiPhoneに提供するKDDIはどのように考えているのか。取材をしたところ、KDDIとしてはメールアプリを推奨しているようだ。「デコレーションメールもきちんと表示される」(KDDI広報部)ためで、これはiPhoneの購買層にも関係がある。au版iPhoneは「数ではドコモからのMNPや、auでの機種変更が多い」(同)。そのため、デコレーションメールの表示にニーズがあるそうだ。一方で「MMSにこだわりがあるのは、ソフトバンクでiPhoneを使っていたユーザー」(同)で、MNPでソフトバンクモバイルからKDDIに移ってきたときの不満を解消するためにMMSを用意したという背景がある。
ビジュアルボイスメールの対応と合わせて、今回のMMS導入によって、ソフトバンク版との大きな違いはなくなった。ソフトバンクとは通信方式が異なるため通話中の3Gデータ通信ができないなど、わずかな差は残っているが、逆にauならではのエリアや通信の安定性といったメリットもある。先に紹介したように、iOS 5.1のソフトバンク版iPhoneのMMSでは現在、多くの端末に絵文字が送信できなくなっているため、メールではKDDIが大きくリードしている状況になった。早くからiPhoneを提供していたリードが急速にキャッチアップされる中、iPhone 4S発売前後に両社の仕様の違いを強調していたソフトバンクがどのような策を打ってくるのか。iPhoneをめぐる両社の戦いは、ますますヒートアップしていきそうだ。
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