「できない」は禁句――妥協なしの「ELUGA X P-02E」で到達した“真の全部入り”:開発陣に聞く「ELUGA X P-02E」(2/2 ページ)
5インチのフルHDディスプレイを搭載しながら、幅68ミリに抑えた「ELUGA X P-02E」は、欠けているものは何もないと言っても過言ではないほど充実した機能を備えた。そんなELUGA Xはまさにパナモバ渾身の一台ともいえる自信作。開発の舞台裏を聞いた。
カメラ機能はLUMIXと同じ評価基準でプロカメラマンがテスト
ITmedia そのように第三者の意見を聞くことは、今回の機種に限らず、やっていることなのですか?
渡辺氏 そうです。モニター調査はもちろんですが、例えばカメラも、プロのカメラマンさんの評価を受けるということをずっと繰り返してきています。デジタルカメラのLUMIXと同じ評価基準を設けていて、それを日々ブラッシュアップしています。おかげで、オート撮影時のシーンの認識率の高さは、コンパクトデジカメと同等レベルにまでになりました。スマホでは間違いなく、我々のカメラがシーン認識率ナンバー1です。今回の端末では、逆光、夜景、夕方の薄暗いシーンなど、これまでケータイやスマホで難しかったシーンも簡単に、きれいに撮影できるようになっています。
富家氏 LUMIXもそうですが、パナソニックグループとして、VIERAやDIGA、さらにはスマート家電との連携など、いろいろな技術を共有して、ブラッシュアップしていけます。これは我々の大きな強みだと思っています。例えば映像では今回、進化したモバイルPEAKSエンジンを体験していただけるように、いくつかのデモ映像もインストールしています。色鮮やかな映像をフルHDかつ狭額縁で楽しめるので、本当に引き込まれるような映像体験ができますよ。これはぜひ、店頭で試していただきたいですね。
ITmedia ELUGA Xは、パナソニックグループのサンヨーが持つ技術である、おくだけ充電にも対応しています。一般にスマホではバッテリーへの不満が高いですが、その点はどのように対応されていますか?
渡辺氏 電池持ちへの対策としては、大きく4つの取り組みをしています。1つは2320mAhという大容量バッテリーを搭載すること。もう1つは省電力設定の「ecoナビ」、さらにプラットフォームをチューニングしたり、スリープ状態のときに電力をぎりぎりまで抑えるといったこともやっています。
富家氏 スマートフォンへの不満ナンバー1は電池持ちですから、そこはぎりぎりまで調整を重ねました。最終的には、社内からも驚きの声があがる数値まで持っていくことができました。
松尾氏 電池長持ちと高速CPUでサクサク動かすのを両立するために、今回は専門部隊を作って、電池消費を徹底して抑えるチューニングをしました。クアッドコアの4つのコアを常時使うのではなく、細かく制御することで、サクサクの操作性と省電力を実現しています。
渡辺氏 一方で、いざというときのための急速充電やおくだけ充電といった充電方法にも工夫をしています。おくだけ充電への対応は以前からですが、やはりお客様からの満足度はすごく高い。「家に帰っておくだけで充電できるなんて便利」という声をたくさんいただいています。一方で、普通の充電に比べて充電時間が長いという不満の声もあって、今回はそこもサンヨーのチームと一緒に取り組んで、ACアダプターをつなぐのと変わらないスピードで充電できるようになっています。
グループの力を結集させて完成した、パナモバ渾身の一台
ITmedia 今回はそうしたパナソニックグループの技術も含めての“全部入り”ということでしょうか?
渡辺氏 まさにその通りだと思います。今回は我々プロジェクトメンバーはもちろん、工場も、グループ内のいろいろな人たちとも、とことんやったという充実感がすごくある。本当にモチベーションの高いメンバーが集まったおかげで、最先端の機能と安心の使いやすさを、ハイレベルで両立させることができたと自負しています。
小林氏 「できない理由を考えている時間を、できることを考える時間にしよう」と。「できない」は禁句にして、とにかく前向きに、みんなでワイワイガヤガヤ進めたプロジェクトでした。例えば、せっかくケーブルを使わないおくだけ充電なんだから、イヤフォンもキャップなしにしようと工夫したり、ストラップホールをどう付けるかを、2週間くらいかけてやったり。すごく細かいところまで、とにかく今回は一切諦めないで、全部入れることができたと思います。
渡辺氏 そのかいあって、「これぞELUGA」と呼べるスマートフォンがようやく完成しました。ぜひ実際に端末に触れて、そこにちりばめられた我々の思いを感じてもらえればうれしいですね。
富家氏 今回のELUGA Xは、パナソニック モバイルの原点に戻って。お客様の視点に立って開発したモデルです。それが受け入れていただけて、今、本当にほっとしています。ただパナソニック モバイルのスマートフォンとしては、これでようやくスタートラインに立てたというところ。これからが本当の挑戦だと思っています。
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