イー・アクセス版「Nexus 5」の狙い/LG「isai」の開発経緯/シャープスマホの強み:石野純也のMobile Eye(10月28日〜11月8日)(3/3 ページ)
今回の連載では端末に焦点を当て、11月1日に発表された「Nexus 5」のイー・アクセス版、KDDIとLGエレクトロニクスが共同開発した「isai」、そしてシャープ冬モデルの狙いについて、解説していきたい。
省電力のIGZOや狭額縁で勝負するシャープ
シャープは、11月7日に開催した記者会見で、冬春モデルの新製品を紹介した。冬春モデルとして発売されるスマートフォンは、全7機種。ドコモ向けが「AQUOS PHONE ZETA SH-01F」「SH-01F DRAGON QUEST」「AQUOS PHONE EX SH-02F」「スマートフォン for ジュニア2 SH-03F」の4機種、au向けが「AQUOS PHONE SERIE SHL23」の1機種、ソフトバンク向けが「AQUOS PHONE Xx 302SH」「AQUOS PHONE Xx mini 303SH」の2機種となる。
冬春モデルで強化したのは、ディスプレイ、UI、カメラなど。ディスプレイについては、IGZO液晶を軸にした省電力化を図りつつ、コンパクトモデルのAQUOS PHONE EXではピクセルの高密度化に挑戦した。また、ソフトバンク向けのAQUOS PHONE Xxでは、三辺狭額縁化を行い、差別化を図った。このモデルのディスプレイ占有率は80.5%にもなり、正面から見たときの印象は「ほとんどがディスプレイ」という仕上がりになっている。AQUOS PHONE XxはIGZO液晶ではないが、これは「三辺狭額縁のEDGESTを早く実現したかったため」(通信システム事業統轄兼通信システム事業本部長 常務執行役員 長谷川祥典氏)。今後は、IGZOに切り替えていく可能性もある。
UIについては、AQUOS PHONE ZETAやAQUOS PHONE SERIEに「グリップマジック」を導入した。これは、端末を持っただけで自動的に画面が点灯する機能。電源キーやホームキーを押さなくても、すぐに使い始めることができるようにするための仕組みだ。カメラについては、F1.9の明るいレンズや、暗所でのノイズを低減する「NightCatch」という画像処理技術を導入した。
こうした端末の投入を通じて、シャープは「14年度には国内市場において、Android端末メーカーのナンバー1を目指す」(長谷川氏)構えだ。シャープはIGZO液晶をほかのメーカーにも外販している。そのため、デバイスが差別化の軸ではなくなるのではないかという意見もあるが、長谷川氏はこれを否定。「IGZOを使いこなすノウハウは、そんなに簡単には手に入らない。単にIGZOを使うだけでは、同じことはできない」と語った。
省電力なIGZO液晶という点で差別化を図ったうえで、「EDGESTのデザインや、簡単にきれいに撮れるカメラ、ユーザーサポートも重要になってくる」(長谷川氏)というのがシャープの考えだ。一方で、以前は力を入れていた海外展開については「チャンスがあれば」とやや消極的な姿勢に転じた。ソフトバンクの傘下になったSprintへの端末提供についてもコメントを避けた。長谷川氏によると「まずは国内を立て直す」ことが必要なためだという。
同日には、シャープの冬モデルの先陣を切るAQUOS PHONE ZETAがドコモから発売された。ドコモの冬モデルでは、「オススメ3機種」の1つで、2年間利用した際の実質価格もほかの機種より抑えられている。この端末の売れ行きも、注目しておきたい。
ディスプレイやグリップマジックといった特徴で“AQUOS PHONEらしさ”を作り上げたシャープだが、それぞれの端末の外観に共通性がなく、シリーズとしての打ち出しがやや弱い印象を受けた。グリップマジックのような新機能も、AQUOS PHONE Xxなどには非搭載で少々統一感に欠けている。省電力に対する取り組みは市場でも評価されているが、今後はこうしたブランド作りも必要になってくるだろう。
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