「アジア人はクレイジーなほどスタンプに夢中」――アジア市場におけるLINEのマーケティング活用(2/2 ページ)
LINEが企業のマーケティング担当者向けに、アジア圏のLINE活用事例を紹介するセミナーを開催。各国の担当者が現地のユーザー動向を説明した。
アジア人は「クレイジーなほどスタンプに夢中」
現地のユーザー動向についてはLINE Plus 中華圏担当者とASEAN担当者が登壇し、現状を伝えた。紹介された地域は、タイ、インドネシア、マレーシア、香港、台湾、中国の6カ国。
タイは人口6600万人に対してLINEユーザーは2400万人。各企業の公式アカウントは合計1600万人の友だちがいるという。マクドナルド、イオン、日産など日本ではなじみがある企業のほか、Oishiという緑茶会社のスタンプが国民的な人気を博しているという。担当者は「タイの国民はクレイジーなほど企業スタンプに夢中。面白いスタンプやレアなスタンプを競って集める“スタンプバトル”をするユーザーがいるほど。スタンプのトラフィックを見ると、Oishiは1日で500万以上送られている」と説明する。また、ユーザーがスタンプに熱狂する傾向についてはほかのアジア新興国でも見られる傾向だという。
インドネシアは人口2億5000万人に対してLINEユーザーは2000万人。ポカリスエットの企業アカウントが一番人気で、やはりスタンプをリリースすると企業の友だちが急増する傾向にあるという。マレーシアも3000万近くのLINEユーザーを抱え、ケンタッキーフライドチキンなどの企業が人気を集めている。
担当者によると、「台湾は2300万の総人口に対して1700万ユーザーを獲得しているほか、LINEをテーマにしたテーマパークを開き、累計35万人が来場した。43ある企業アカウントの友だちは合計で5200万人。mamawayという妊婦向け製品を扱う企業は、LINEアカウントを開設したあとに売上が140%伸びたという。
スマートフォンの出荷台数が3億7000万台を超える中国では、OSに関係なくメッセンジャーアプリの使用が盛んだ。担当者は「LINEは外来ブランドとして、上海、北京などで人気。ユーザーも大学生やホワイトカラー層などが多い」と話す。香港ではコンビニエンスストアのサークルKにLINEのキャラクター広告を打ち出すなどして、店頭プロモーションをしている。
だが、企業の公式アカウントはプロモーション関連のメッセージを送ることが多いため、スタンプをダウンロードしたあとはブロックされがちだ。この問題について、LINE Plus ASEAN担当者は「スタンプを提供してブランド認知力を高めること自体が目的なので、ブロック率は海外ではさほど問題になっていない」と答えた。さらに中華圏担当者が「まずは、ダウンロードしてもらうために外観的に魅力あるスタンプが必要になる。そのあとはキャンペーンを打ち出すなどお得感を出しながら顧客との関係を続けていきたい」と補足した。田端氏も「台湾のユニクロでは商品を10%オフにするクーポンをLINEで配布すると、1カ月で100万人の友だちができた。スタンプ以外でもお得感を打ち出すことは効果的」と続ける。
日本と同様にアジアでも多くのユーザーに支持されているLINE。中国のWeChatや米国のWhatsAppなど競合するアプリも多いが、アジアの新興国は今後急成長する余地のある魅力的な市場だ。日本企業がアジアに進出する上で大きな力になる可能性を秘めている。
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