大画面トレンド、iPhone、日本メーカー、格安スマホ――2014年のスマホを振り返る:スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2014(前編)(3/4 ページ)
2014年に発売されたスマートフォンの中からベストなモデルを決める「スマートフォン・オブ・ザ・イヤー」。今年のスマホはどんなトピックが目立ったのか。審査会では2014年のスマホについて、ざっくばらんに語ってもらった。前編ではその様子をお届けする。
大画面は当たり前でも、本当に日本にマッチしているのか?
―― 2014年は「大画面」がキーワードだと思いますが、皆さんが許容できるサイズはどのくらいでしょうか。
石川氏 全体のバランス次第かなと思います。5.5型でも狭額縁なら持ちやすいと思えるし、5型でも大きくて持ちにくい端末もあります。額縁の幅や操作性である程度カバーできるので、そこはメーカーの挑戦として、やりようがある気がしますね。
西田氏 みんなの話を聞くと、落としやすい端末があるようなんですよ。iPhone 6もそんな匂いがする。ツルッときれいだけど、落としやすいのは間違いない。Xperiaも、Z2とZ3でデザインは極端には違いませんが、聞いた感じだとZ2は落としやすくてZ3は落としにくくなっている。理由がどこにあるのかは分かっていない。ディスプレイサイズの大きさを許容するか否かは、そこにも関わっているかなと思います。大きいものがダメではなくて、大きくても落としにくいものもあれば、大きくないけど落としやすいものもある。
―― 素材も関係しているでしょうね。
西田氏 そうですね。素材や角の仕上げ、フレームと本体幅の差や縦横比など、一言でいえない微妙なものがあるようですね。
石野氏 その点、GALAXYシリーズは大画面を長くやってきた蓄積があって、素材感と適度な比率で、片手で操作しても一度も落としたことがありません。
―― 女性の皆さんはどうですか?
太田氏 私はバンカーリングを使っていて、これが2014年すごい売れています。こういう補助道具やケースを使ったり、スマホはしまっておいてAndroid Wearのようなもので見るなど、やりようはあると思います。面白かったのは、知り合いの女性で小さいからiPhoneがいいと言っていた人たちが、iPhoneが大きくなっても何も言わない。みんなiPhoneが欲しかっただけじゃないか、というね。
―― iPhone 6が皆さんの許容レベルまで変えたと。
太田氏 小さいiPhone 5sじゃなくて、やっぱりiPhone 6を買う。新しい方がいいとか4.7型だったら許容できるとか、いろいろ理由があると思いますが、iPhone 6によって大きいものに対する免疫が付いた、みたいなところはあると思います。例えばファブレットという言葉を2013年は使っていましたが、2014年は大きいことが当たり前になって使わなくなった気がします。
すずまり氏 みんなが持っていてはやっているからいい、みたいなノリがありますね。私はリング状のストラップを使っています。iPhone 6/6 Plusは側面が丸くなってすべって持ちにくくて、すぐにストラップホール付きのケースを購入しました。それでも置いた状態から持ち上げるときに怖くて、ストラップのリングに指を入れてから持ち上げるようになりました。
西田氏 僕がiPhone 6/6 Plusの方がいいと思った理由は、iPhone 4から続くデザインがあまり好きじゃなかったからなんです。飽きたということもあった。今回はガラスの仕上げなんかもがんばってきたなと。背面のアンテナの処理は色によっては厳しいと思うけど、スペースグレイを正面から見ると美しいし、前のデザインが嫌だった自分としてはこっちの方がいい。
石野氏 ディテールは甘いですよね。カメラレンズが飛び出すは、アンテナが目立つは、どうしちゃったのと。せめてカメラだけは、ここまで画質が高くなくてもよかったから、ストンと落としてほしかった。
西田氏 落としやすいということでいえば、AQUOS CRYSTALを選んだ理由がもう1つあって、AQUOS CRYSTALの表面のパネルはガラスじゃなくてアクリルなんです。なので傷は付きやすいけど落としたときに割れない。割れない方向性を目指すんだったら脱ガラスで、やり方の1つとして面白いと思ったんです。アクリルは厚みが出るのと質感が落ちるのとであまり使われなかったと思うんですが、壊れるのが嫌だという話があるならアクリルは1つの選択肢だと思っています。
佐野氏 大画面を否定する意見として言わせていただきますと、スマホは大画面(がいい)とうたって端末を出しているところもありますが、それはグローバル市場の影響という印象があります。グローバルでは、大画面のハイエンド端末と小画面のローエンド端末に分かれてしまっている。日本で売れていたのは小画面のハイエンド端末だったのに、そういうものを調達するとコスト高になるから、グローバルに合わせてハイエンドで大画面というトレンドを無理に作り出そうという、キャリアやメーカーのエゴを感じます。
ノミネート端末には入れていませんが、日本市場に合った端末としてXperia Z3 Compactは評価していて、こういう端末はどこかのラインで必要なんじゃないかという意識を強く持っています。なので、iPhone 6が5型に行かず4.7型でとどまったのは、日本人として少し安心しました。これが5型だったら、iPhoneの流れはもっと変わったかもしれないですね。
石川氏 女性お2人は大画面端末にリングを付けていますけど、果たしてリングを付ける前提でいいのかとは思いますね。片手で持つのが大変でリングを付けてなんとかなるという状態が、スマホメーカーとして正しいことなのか。それで便利ならストラップホールくらいは付けてほしい。
石野氏 ユーザーが工夫せざるをえないという状態は、確かにちょっと間違っているという気がします。以前、auに「ベルトのついたケータイ」がありましたけど、今こそ復権が求められているのではないかと(笑)。
西田氏 大型化を許容する話として「もう電話じゃないから」という言い方はあると思います。だとするなら、僕らが電話するときの姿そのものを見直さなきゃいけない。腕時計型か何なのか分かりませんが、話し方も変わらなきゃいけない。大きくてもいいという認識が作れればいいんですが、今までのスマホの使い方で画面だけ大きくしましたと言われても、バランスは確かに悪くなっていきます。
石川氏 佐野さんがおっしゃったように、日本と海外で電話の使われ方がちょっと違う。海外であれば、Bluetoothヘッドセットやイヤフォンで音楽を聴いていて、電話が着信したらそれで話すのが当たり前になっている。だからこそ大画面が両立するんでしょうが、日本ではそういう使い方はあまりされないし、電車通勤が前提になっている。そう考えると、大画面が本当に日本市場に合っているのか、日本市場に合わせた大画面のあり方、みたいなものが問われようとしている気がします。
―― 今さら3型のディスプレイを作るのは逆にコストがかかってしまうという理由もあるんでしょうね。
石川氏 それはあると思います。
石野氏 グローバルでも当然、コンパクトなものは出ています。ZenFoneも、4、5、6とあり、Huaweiも4型台の端末がたくさんあります。ミッドレンジ以下のものが多いですが、ここまでスマートフォン全体のスペックが上がっていると、ZenFone 5が普通に使えるように、ほかも問題はないかなと思えます。全体が底上げされて、今後はバリエーションが充実してくるのかな。
石川氏 そういえば、iPhoneが来年また4型モデルを出すのでは、という噂もありますね。まあ、みんな悩みながら、いろんなサイズを出すのではないでしょうかね。
佐野氏 バリエーションが出てくると思いますね。
島氏 SIMロックフリー端末は大画面で安いものが欲しい。MEDIAS TABをスマホとして使っていた私から言わせてもらうと、7型でも問題ない。女性だからという話もありましたが、むしろバッグに入れて持ち歩く女性の方が大画面を運べますから。電話よりタブレットとして使っているようなものじゃないですか。
西田氏 GALAXY Noteが日本で出たときも、写真が見やすいということで、女性に受けましたね。2013年までのトレンドだと、コスト的に製造を集約する方向だったので、グローバルで1モデルという流れでした。スマホ業界は2014年も減速しているので、端末のバリエ―ションを減らす方向になってはいるんですが、バリエが1つ増えたから経営上厳しくなるとかそういうものではない。対応バンドによって同じモデルを10カ国分、作り分けるようなことをしない限りは、どうにかなるようにはなってきています。2015年はまだ難しいかもしれないけれど、2016年あたりになると、サイズバリエ―ションはメーカーとして許容しやすくなっていくんじゃないかと思います。
佐野氏 2015年は格安スマホのラインアップを増やすメーカーがかなり増えてくるので、そこで大きく変わってくるのかなという予想をしています。
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