音楽聴き放題の新サービス パケット消費量はどれくらい?:SIM通
続々と登場する音楽ストリーミングサービス。月額定額で音楽聴き放題と魅力的なサービスですが、気になるのは利用するパケットです。いったいどれぐらいのパケット量を消費するのか、実際に試してみました。
世界的に人気のある音楽ストリーミングサービス。日本でも音楽配信アプリの「AWA(アワ)」や定額制音楽聴き放題サービス「LINE NUSIC」がスタートしましたが、いったいどれぐらいのパケット(モバイルデータ通信)量を消費するのでしょうか。
海外の音楽市場は、ストリーミングサービスが主流になりつつあります。日本ではまだCDが根強いですが、AWAやLINE NUSICなどのサービスが始まり、ストリーミングの音楽聴き放題へ注力されてきつつあります。
データ通信さえできれば月額数百〜1,000円ほどで、好きな音楽を、いつでもどこでも聴きたいだけ聴けるとても魅力的なサービスですが、気になるのは利用するパケットです。格安SIMの低額の契約は月間高速データ通信が2〜3GBが多いため、音楽聴き放題で使いすぎてしまうと高速データ通信を使いきって低速になる可能性もあります。
そこで、AWAとLINE NUSICのそれぞれが消費するパケット量を、実際に試して確認しました。
各サービスとも3種類の音質設定からチョイス
検証する2サービスは、どちらも自分で音質設定を選択できます。
AWA | LINE NUSIC | ||
低音質(Low) | 64kbps | 64kbps | |
中音質(Middle) | 96kbps | 192kbps | |
高音質(High) | 128kbps | 320kbps | |
超高音質(Wi-Fiのみ) | 320kbps | ― | |
(※LINE NUSICの音質はプレスリリースより) |
単純に比較する場合、数字が大きければ大きいほど音質が良くなりますが、多くのパケット通信を利用します。
自宅にWi-Fi環境を整えていたり、大容量のデータ通信契約をしていたりする人は高音質でも良さそうですし、格安SIMで手頃な値段で契約していたり、キャリア契約でもデータ量の少ない場合は、低音質に変えることで“節約”できそうです。
切り替えでどのくらい節約できるのかも、同時に検証してみます。
データ量の確認には、「通信量モニター[パケットモニタ]」というアプリを使用しました。
他の条件は以下の通り。
- 試した時間は音質ごとに1時間ずつ。
- 確実に再生を確認するため、視聴はスピーカー使用。
- 視聴楽曲は適当に目についたプレイリストから。これは、アプリ使用時の「まったく同じ曲を何回も聴かない」「プレイリストから気分に合わせて利用」の2点を想定しています。
実際の数値には差が出る場合がありますので、ご了承ください。
契約によっては1日で容量切れ
結果を表にまとめました。
AWA | LINE MUSIC | ||
低音質(Low) | 約37MB | 約57MB | |
中音質(Middle) | 約46MB | 約111MB | |
高音質(High) | 約75MB | 約186MB |
毎日1時間、20日間利用すると仮定すると、使用量は。
AWA | LINE MUSIC | ||
低音質(Low) | 約740MB | 約1140MB(1.14GB) | |
中音質(Middle) | 約920MB | 約2220MB(2.22GB) | |
高音質(High) | 約1500MB(1.5GB) | 約3720MB(3.72GB) |
すべての音質で、AWA よりもLINE MUSICのほうがパケット量を多く消費します。通勤や通学の往復1時間で利用する場合、格安SIMの3GB利用プランでは、AWAは高音質までカバーできますが、LINE MUSICは中音質までにとどめておいたほうが良さそう。もちろんパケット通信はメールやWeb閲覧、SNSにも必要ですから、もっと余裕をおかないといけません。
さらに注意しなければならないのは「OCN モバイル ONE」をはじめとする、1日ごとに更新する契約の格安SIMです。1日あたり110MB利用のプランでは、計算上ではLINE MUSICの中音質を1時間程度利用するだけでその日の容量を使いきってしまいます。低音質に下げる必要があるでしょう。
LINE MUSICは設定の工夫が必要
実はLINE MUSICだけ、2回計測しています。なぜなら最初の計測時に、低音質1時間で約206MBという結果が出てしまったから。検証ミスかと再計測した結果、LINE MUSIC は初回使用からしばらくはパケット消費量が多いのではと推測されました。最初の利用にはWi-Fiを使ったほうがよさそうです。
またLINE MUSICには、「ネット環境に応じた自動設定」という項目と、「キャッシュの設定」があります。「ネット環境に応じた自動設定」は、利用できる通信速度に応じて音質を自動調整してくれるものと思われますが、格安SIM利用時にはオフにしたほうがいいかもしれません。自分で設定したほうが、勝手に高音質に切り替わってパケットを浪費することを防げるでしょう。
「キャッシュの設定」をオンにしておくと、同じプレイリストや楽曲を聴く場合に再読み込みをしなくなるので、地下鉄など電波状況が不安定な場所や再視聴には向いていますが、こちらもその分多くのパケットを使うようです。設定の同じ場所に「Wi-Fiのみでキャッシュを設定」がありますので、それをオンにしておくとパケットの節約につながります。
なお、今回の検証では「ネット環境に応じた自動設定」と「キャッシュの設定」のどちらもオフにして計測しました。
低速モードでも音楽は聴ける?
高速通信を全部使いきった場合、変わらずに音楽を楽しむことはできるのでしょうか?これについても調べたところ、通信速度が遅いためか10秒に1回の割合で再生がストップしてしまいました。ストリーミングの音楽を快適に楽しむのは、ちょっと難しそうですね。今後、こうした状況を改善できる機能を追加してくれれば、音楽ストリーミング再生の需要は高まるかもしれませんね。
(文・布施繁樹)
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