使ってみれば、まるで別物――iPhone 6s/6s Plusは“スマートフォンを再発明”した(4/4 ページ)
iPhoneは長足の進歩を遂げたが、根幹となるユーザー体験の部分は「初代iPhone」を改善し洗練させていく道程だったのだ。しかし、iPhone 6s/6s Plusに触れて、その状況が変わるのではないかと感じた。「6s」の真価はどこにあるのだろうか?
iPhoneへの移行に便利な「Move to iOS」
3D Touchと進化したカメラ機能。この2つだけでもiPhone 6s/6s Plusは2015年最も革新的なスマートフォンであり、新たな未来を先取りしたものでもある。となると、これまでiPhoneを使っていたユーザーだけでなく、Androidスマートフォンを使っているユーザーも「いよいよ次はiPhoneにしたい!!」と強く思うだろう。くしくも今2015年は、ドコモのツートップ戦略から2年が経過した年だ。2年前の2013年夏に「ドコモからiPhoneが出なさそうだからしかたなく……」と、渋々とGalaxy S4やXperia Aを選び、Androidを我慢して使っていたドコモユーザーにとっては、iPhone 6s/6s Plusはうってつけの買い換え先といえる。
そのようなタイミングに合わせたたわけではないだろうが、iPhone 6s/6s Plus発売のタイミングに先立ち、AppleがAndroidからiOSへの移行ツール「Move to iOS」をリリースしている。これはすでにGoogle Playで無料ダウンロードが可能であり、これを今まで使っていたAndroidスマートフォンにインストールすれば準備OK。
新しく購入したiPhoneのセットアップから「Androidからデータを移行」を選び、Androidスマートフォン側でMove to iOSのアプリを実行すれば、アドレス帳やフォトアルバムのデータなど個人情報がコピーされるだけでなく、Androidで使用していたアプリと同じアプリのiOS版も自動ダウンロードされる(有料版アプリはウィッシュリストに追加)。さすがにアプリ内で課金したデータなどは移行できないが、基本的な個人情報やアプリ情報が引き継がれるだけでも移行の負担は大幅に軽減されるだろう。
日本ではスマートフォン市場におけるiPhoneのシェアが高いこともあり、かわいいケースやおしゃれなカバー、気の利いたアクセサリー類はiPhoneにしかないということが往々にしてある。率直にいって、スマートフォンを文化的に楽しみたいのなら、iPhoneの方が周辺環境が整っているのだ。そのような中でAndroidスマートフォンからiPhoneに移行したい人にとって、iPhone 6s/6s Plusと合わせてMove to iOSの存在はとても大きいといえる。
マイナーチェンジではなく、スマートフォンの再発明
クルマの世界では、フルモデルチェンジの狭間にあるマイナーチェンジで、エンジンやトランスミッションといったパワートレインやサスペンションの載せ替えをすることがある。この手法は特にBMWなど欧州車が好んで用いており、見た目のデザインはさほど変わらずとも「中身は別物に進化する」ことが多々あるのだ。だから古くからのドイツ車乗りの中には、中身が一新されるマイナーチェンジ後の“後期モデル”を選んで買い換える人も少なくない。
iPhoneに関しても、sシリーズは“中身が大きく変わる後期モデル”という傾向がある。世代番号が変わるフルモデルチェンジでは基幹部分は正常進化かキャリーオーバーとし、sが付くマイナーチェンジ後の後期モデルで基幹部分の刷新を行うのだ。
この法則に従って見れば、今回のiPhone 6s/6s Plusはまさにシナリオどおりの後期モデルといえる。しかし、唯一にして圧倒的に異なったのは、「中身の刷新がスマートフォンの再発明ともいえるほど大きなものだった」ということだ。3D Touchの搭載はUIデザインとユーザー体験を抜本的に変えて、アプリのデザインや使い勝手にまで広く影響を及ぼしていくだろう。これほど大きな変革を、シナリオ通りとはいえマイナーチェンジでさらりと入れてくるあたりに、Appleの底力といまだ衰えぬ革新性を感じる。
では、iPhone 6s/6s Plusは買うべきか否か。
筆者の答えは、間違いなく「買うべき」である。これほどワクワクし、未来を感じるスマートフォンは久しぶりだ。順当に買い換えタイミングにあるiPhone 5sまでのユーザーはもちろん、iPhone 6/6 PlusやAndroidスマートフォンのユーザーも買い換えを検討して損はない。むろん、まだスマートフォンを持ってないユーザーが初めて手にするのに最適な選択肢であることは言わずもがなである。
9月25日、まずは店頭で実機にふれて、Appleによるスマートフォンの再発明を実感してもらいたいと思う。
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