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「テキスト、写真、動画の次はVRがソーシャルに」 MWC16でザッカーバーグ氏が予言Mobile World Congress 2016

「動画の次はVR」。Facebookのマーク・ザッカーバーグ氏は、MWC2016の基調講演で次のムーブメントはVRであると予言、モバイル対応にも力を入れると発言した。

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 Facebookの共同創業者兼CEOのマーク・ザッカーバーグ氏が2月22日(現地時間)、スペイン・バルセロナで開催中の「Mobile World Congress 2016」の基調講演に登場した。

Facebookの共同創業者兼CEOのマーク・ザッカーバーグ氏
Facebookの共同創業者兼CEOのマーク・ザッカーバーグ氏

 「人々は長くテキストを共有してきた。それが写真になり、次はビデオになる」とソーシャルに動画が迫っていることを示し、さらにはVRがその先にあると予測。そして、それを支えるモバイルネットワークが重要になると指摘した。

 ザッカーバーグ氏がMWCの基調講演に登場するのは3年連続。トピックの半分はFacebookが非営利団体として進めているインターネット普及の取り組み「Internet.org」だったが、もちろんFacebookに関する発言もあった。

 前日夜にSamsungの「Galaxy S7/S7 edge」発表会にサプライズで登場したザッカーバーグ氏。SamsungはVRヘッドセット「Samsung Gear VR」の開発でFacebookが2013年に買収したOculus VRと提携関係にあり、またFacebookも360度コンテンツの表示を開始するなど、VRには並々ならぬ思いがあるようだ。

 「11歳の頃に最初にプログラミングを学んだときに、数学の時間に自分のノートPCでコードを書き、世界がどんな風なのかスケッチを描いていた。2DのWebサイトやアプリケーションをナビゲートするだけではなく、まったく違う場所にトランスポートできたらと思っていた」と、個人的な思い入れがあることを明かした。それから30年近くが経過し「現在は可能になりつつある、とてもエキサイティングだ」と語る。

 VRについては、自分が関心があることなどを表現し、サービス面でも注目しているという。「10〜15年前、ネットで共有するものはテキストが中心だった。その後スマートフォンのカメラを使った写真の共有が増え、現在は動画だ」と話すザッカーバーグ氏は、「その背景にはモバイルネットワークが高速になったことがある」と、聴衆である通信事業者やネットワークインフラ技術企業、端末メーカーへの賛辞も忘れなかった。

 動画のアップロードはより簡単に、そして快適になっており、今後ネットワーク側の進化に合わせてさらにスムーズに、快適になると予想する。ザッカーバーグ氏は「今後数年は動画が主流になる」と見るが、「これで終わりではない」とも付け加えた。体験や日常の“モーメント”を共有する方法として常に新しいものが登場しており、次は(現在のような)2Dの動画ではなく「“場面を丸ごと”になると思う。それは想像よりも早く現実のものになるだろう」と予言する。

 その予兆は既にある。360度動画はGear VRだけでも100万時間以上が視聴されており、Facebook上では毎日100万人以上のユーザーが視聴しているという。一方で、「場面丸ごと」の共有の実現にはネットワークの進化が不可欠だとも指摘した。

MWC2016
Samsungの「Gear VR」は、Facebookが買収したOculus VRと技術提携して生まれたデバイス
MWC2016
Samsungの360度カメラ「Gear 360」

 動画がブームとすれば、Facebookはこのブームにきちんと対応できるのか――モデレーターが数年前(Facebookの株式公開の前後)、「Facebookの課題はモバイル」と指摘されていたことに言及すると、ザッカーバーグ氏もこれを素直に認めた。

 「動画の現在は、2011年〜2012年のモバイルに似ている。当時(デスクトップからモバイルへの)転換点にあり、われわれはデスクトップ中心で、遅れていた。モバイルへの移行を試みており、その過程で間違った技術を使ったこともあった」と述べた後、「動画では、(モバイルのときのように)間違わずに正しい方向を見いだしたい」と苦笑混じりに語った。

 Facebookが2月に開始した動画の「ライブ配信(Live)」についても、期待を見せる。ザッカーバーグ氏が前日にSamsungのイベントに出演、5分のライブ配信を行ったところ、15万人が視聴したという。

 ライブ機能は、政治家など有名人にとっては人気TV番組と同じぐらいのパワーを秘めたツールであり、学生にとっても自分の学習をシェアするなどの使い方が考えられ、また現在のソーシャルメディアにはない魅力があるという。「ソーシャルメディアではよく見せようとするプレッシャーがある。写真を共有しようと思ったら、カッコよくみえる写真でなければならない。だが、ライブ動画ではより親密な、生の環境でありのままでいられる」と分析した。

 AIはどうか? このところエンタープライズでもコンシューマーでも見かける機会が少しずつ増えている。

 折しもザッカーバーグ氏は年初に共有した個人的な挑戦の1つに、AIを利用して自分の家を制御することを挙げていた。これについて聞かれると、「自分の家をコントロールできるというのはいい考えだと思った」と笑った。まだ大きく進展しているのではなさそうだ。一方、AIについては、イーロン・マスク氏、ビル・ゲイツ氏などから危険視する声も挙がっている。

 ザッカーバーグ氏は、AIプログラミングは現在パターン認識が中心であるとし、あまり心配する必要はないと楽観視しているようだ。「最近素晴らしい例として、AIを利用して皮膚ガンの検出を行うという話を聞いた。撮った写真から、トップレベルの医師と同じような品質と正確さで皮膚ガンかどうかを判断するという。これはすごいことだが、やはりパターン認識だ」とし、「インテリジェンスがどのように機能するのか、まだ理解には程遠いレベルだ」とまとめた。

 Internet.org関連では、Facebookが「Telecom Infra Project」を発表した。テレコムネットワークのインフラの構築と実装をより低コストに、効率化するためのプロジェクトで、データセンター向けのオープンソースハードウェアプロジェクト「Open Compute Project」から着想を得た。通信事業者、インフラベンダー、システムインテグレーターなどと協力しながら進めていくとしており、Internet.orgに参加するNokiaやIntelも参加する。

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