FREETEL SIMの速度低下を引き起こした“異常な利用”とは何だったのか
一部のユーザーの異常な利用によって、速度の低下が起きたという「FREETEL SIM」。当該ユーザーに対しては、警告や利用の停止に加え、法的措置を取っていくという。一体、FREETEL SIMに何が起こっていたのか?
「FREETEL SIM」を展開するプラスワン・マーケティングは、3月9日に、一部のユーザーの異常な利用によって、速度の低下が起きていることを発表した。一部サイトでダウンロードが遅くなるという影響が出ており、発表時の3月9日時点で、10日間に及んでいたという。プラスワン・マーケティングの発表によると、当該ユーザーに対しては、警告や利用の停止に加え、法的措置を取っていくという。
一体、FREETEL SIMに何が起こっていたのか。プラスワン・マーケティングの広報担当によると、「当社のネットワークに、故意に負担を与える利用が確認された」ことが、その理由だという。ただし、詳細に関しては「ネットワークのセキュリティに関する事項のため、お伝えすることができない」と、真相はやぶの中だ。
とはいえ、FREETEL SIMは、使い放題の料金プランを採用していない。段階制でデータの利用量に応じて料金が上がっていく仕組みを採用しており、月10GBを超えると速度に200kbpsの制限がかかる。このような料金プランで、プラスワン・マーケティングの説明するような「故意に負担を与える利用」はできるのか。
考えられる可能性としてあるのが、特定の相手との通信を繰り返したということだ。プラスワン・マーケティングは、iPhone、iPad用にApp Storeの通信をカウントしない「FREETEL SIM for iPhone」を発売している。どの通信がApp Storeのものなのかは、交換機側でDPI(ディープ・パケット・インスペクション)を行い、シグネチャーで判断しているという。
この仕組みを悪用し、App Storeと通信を行えば、速度に制限がかからないまま、大量にデータを使うことができる。また、何らかの方法で、交換機側がApp Storeの通信と判断するよう、データを偽装して通信を行っていた可能性もあるのではないか。
これについて尋ねたところ、プラスワン・マーケティングは「ごく短時間の間に、大量の不正な通信が行われた」と回答。FRRETEL SIM for iPhoneとの関連性については、「セキュリティ上お伝えすることができない」と述べるにとどまった一方で、「お客さまがスマートフォンを純粋にユーザーとしてご利用された場合、極端な使い方をしたとしても当てはまらない」とも語っている。また、今回の不正な通信には“業者”が関与していることも明かした。
ただ、プラスワン・マーケティングは「法的措置」にまで言及している。これは、FREETEL SIM規約21条6項の「当社の業務または本サービスにかかる電気通信設備に支障を及ぼし、または支障を及ぼすおそれのある行為が行われたとき」(原文ママ)に該当するためだという。一般のユーザーが普通に利用する限り、こうした処置を恐れる心配はないともいうが、一方で、その範囲がどこまでなのかが明確ではない。きちんとした基準をあらかじめ公表しておかないと、無用な不安を招くことにもつながりそうだ。
また、「不正な通信」と断定するためには、その中身を解析する必要があり、憲法で保証されている「通信の秘密」を侵害している可能性も出てくる。現状では、「正当業務行為」に当たれば、侵害も限定的に認められる運用になっているが、プラスワン・マーケティングの説明では、どの程度の過度な利用だったのかが見えてこない。法的な問題をクリアするためにも、こうしたトラブルの原因は、もっとオープンにしていくべきだ。
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