総務省で「実質ゼロ円」「SIMロック解除」を睨んだ有識者会議スタート――標的になりつつあるソフトバンクが空気を読んで改善策を発表:石川温のスマホ業界新聞
総務省が、2015年に実施した「タスクフォース」をフォローアップする会合を実施することになった。その第1回会合では、NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクから現状報告と要望がプレゼンされたのだが、その中でもソフトバンクの提案がまともに映った。
10月13日より総務省にて「モバイルサービスの提供条件・端末に関するフォローアップ会合」が行われている。第1回では3キャリアから現状の報告と要望がプレゼンされたのだが、そのなかでも、まともな提案をしていたのがソフトバンクだった。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2016年10月15日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。
ソフトバンクは終始一貫して「なんせシェアが低いもので」という、かつての孫社長からの発言からは想像できないような低姿勢で会合に臨んでいた。
そのなかで「ガイドラインによって事業者間の競争が後退している。特に長期割引や家族割引が制限を受けないことで、顧客が固定化し、シェアの低いところが不利になる」と、NTTドコモが優遇されていると指摘。
また、要望としては「端末購入を必須条件としない新規・MNP向け割引や事業者をまたぐフィーチャーフォンからガラケーへの移行に対する施策は規制緩和すべき」とした。このあたりは、SIMだけを発行したり、ガラケーからの乗り換えユーザーが多いワイモバイルへの後押しを意識したものだろう。
さらに、キャリアではなく販売店が負担する端末補助を見直すことや、KDDIが行っているようなスマホと固定通信のセット提供において、ケーブルテレビ会社側がMNPに対する割引を行う行為は見直すべきではないか、とした。
現行ガイドラインでは、どのモデルでも端末補助の対象となっているが、ソフトバンクでは韓国市場の例を持ち出し「高価格端末と廉価端末もしくは型落ち端末とは規制に差をつけるべき」と主張した。
いずれも、かなりまっとうな意見を述べていたように思う。
特に驚きなのが、SIMロック解除に関して 「端末購入から180日間の解除付加期間の短縮に検討余地あり」とし、「割賦残債の未払いの恐れが低い場合などはさらに解除早期化もありえる」と言及したのだ。
このメルマガでも、「一括購入あるいは残債を精算すればSIMロック解除に応じてもいいのではないか」と書いたが、まさにソフトバンクは、積極的にSIMロック解除に応じる姿勢に転換してきたといえる。かつて、孫社長が頑なにSIMロックを拒んできたのとはあまりに対照的過ぎて、少々、面食らってしまった。
今回の会合において、総務省は、ソフトバンクを標的にしているとも言われている。ソフトバンクの接続料が高いために、同社のネットワークを使ったMVNOが増えず、競争状態にない点を問題視しているというわけだ。
そこで、ソフトバンクは空気を読み、実に巧みに総務省に気に入られようとしている雰囲気が伝わってくる。実際、たまたまなのか、12日にはSBパートナーズが提供する「ANA Phone」なども発表されている。また、15日の日経新聞では、ソフトバンクが接続料の値下げに応じると言った報道も出てきた。
総務省の意向をくみ取ったのか、ソフトバンクが実に優等生として振る舞っているのが印象的だった第1回会合であった。第2回は週明け17日午前10時から行われる予定だ。
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