MVNEの取り組みが回線増を加速、カウントフリーは「予定していない」――IIJ決算会見
2016年9月末におけるIIJのモバイル回線数は157万に増加。特にMVNEを含む法人向けが順調に推移している。今後も個人と法人の両輪でサービスを展開していく。
インターネットイニシアティブが11月8日、2016年度第2四半期の決算会見を開催した。IIJmioをはじめとする個人向けモバイル回線と法人向けモバイル回線の累計回線数は157万となり、第2四半期で16万9000の純増となった。個人向けのIIJmioは87万5000回線で6万4000の純増、法人向けのIIJモバイルは64万7000回線で10万7000の純増となり、回線数と売上ともに順調に推移している。2016年度で200万規模の回線数を目指す。
第2位四半期の決算総括。営業利益が前年比で24%減となったのは、大量の人員導入によるシステムエンジニアの販売稼働率低下、クライアント都合による大口案件解約などでSIの粗利が減ったため。「一時的な面があるので、いずれ回復する」(勝氏)
モバイルサービスにおける第2四半期のトピックは、U-NEXTのMVNEとなって「U-mobile PREMIUM」が7月から提供されたこと、IIJmioのSIMカードを郵便局で取り扱い開始したこと、KDDI回線を使用した「IIJmioモバイルサービス タイプA」(サービス提供は10月から)を発表したこと、HLR/HSS(加入者管理機能)を保有してSIMカードを独自に調達する「フルMVNO」への拡張を発表したこと――などが挙げられる。
またインフラについては「回線の品質を強化するために、2Qに想定よりも強く回線を増強した」(渡井昭久CFO)ほか、(東日本に加え)西日本にも接続基盤を持ち、回線の冗長化を行った(災害などでどちらか一方の接続基盤がダウンしても、通信を続けられる)。勝栄二郎社長によると、Pokemon GOなどでトラフィックが増えたことはあったが、逼迫(ひっぱく)したわけではなく、回線の増強は差別化の一環で行ったとのこと。またIIJmioとMVNEサービス(U-mobile PREMIUMなど)で分けて増強したわけではないようだ。
郵便局でのIIJmio取り扱いについては、8月1日に東海地方(岐阜県・愛知県・静岡県・三重県)の郵便局2050局でカタログによる販売を行っていたが、10月21日から北海道、関東、南関東、近畿、各エリアの計7651局を追加した。勝氏は「数字は公表しておらず、爆発的に売れているわけではないが、関東などでは開始して2週間ほどなので、これからに期待したい」とコメントした。
2016年度は、個人向けよりもMVNEを含む法人向けの方が回線数が伸びている。渡井氏は「MVNOをやりたい方は増えており、そこでのお客さんも増えている。回線数(の増加)が加速した背景には、MVNEが強く出ている。トラフィックを集めてネットワークの利用効率が向上することで、利益率も向上する」と話し、MVNE事業が重要な位置付けになっていることを強調した。
総務省が発表した16年6月時点の格安SIM(IIJmioなどのSIMカード型)回線数は678万で、同時期のIIJのモバイル回線数は140万1000なので、約20%のシェアを取っていることになる。勝氏は「そこそこのシェアを取れている」と手応えを話した。
10月に開始したタイプA(au SIM)のサービスについて勝氏は「契約数は公表はしていないが、少ない数ではない。予想通り(の数)で、何百という世界でない」とコメントし、順調に滑り出したようだ。
LINEモバイルを始め、特定サービスの通信量をカウントしないサービスが増えつつあるが、勝氏は「通信を見るのはプライバシーの観点から適当ではないため、今のところ予定していない」と方針を語った。
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