FREETELの「業界最速」は何が問題だったのか? プラスワンと消費者庁に聞く(1/4 ページ)
「FREETEL SIM」の「業界最速」「シェアNo.1」などの表記が景品表示法違反だとして、消費者庁が措置命令を出した。プラスワンと消費者庁は、今回の問題について自社サイトで説明しているが、「業界最速」を巡る両者の考えに溝があると感じた。
プラスワン・マーケティングが提供する「FREETEL SIM」の「業界最速」「シェアNo.1」などの表記が景品表示法違反に該当するとして、消費者庁が措置命令を出した。
プラスワンと消費者庁は、今回の問題について自社サイトで説明しているが、「業界最速」を巡る両者の考えに溝があると感じた。消費者庁は「業界最速」の根拠が合理的でないとしている一方で、プラスワンは「業界最速」の根拠を分かりやすく明記していなかったこと、グラフのデータが誤っていたことを問題としている。
問題の本質はどこにあるのか。プラスワンと消費者庁に話を聞いた。取材に応じていただいたのは、プラスワン・マーケティング取締役 藤田聡敏氏と、消費者庁 表示対策課 課徴金審査官の笠原氏。
「業界最速」という言葉の説明がなかった
まずはFREETEL側に見解を聞いた。
―― 消費者庁とFREETELの説明に、若干のズレがあるように感じています。消費者庁は、12時台の測定結果が「業界最速」の合理的な根拠にならないことを問題視していますが、FREETELさんは「平日昼間12時台の比較であることを注記していなかった」「出典元からの転記に誤記があった」ことが問題だったという内容です。
藤田氏 「業界最速」の根拠については、正直、細部まで認識の共有ができていませんでした。例えば朝に速くても、(回線が)ガラガラなので、ルーレットみたいにスピードが出たり出なかったりするので、あまり意味がないと。平日昼間が一番混み合うので、そこで速いということは(評価に値する)。それで御社やモバレコさんなどの記事を根拠として、消費者庁さんにはご説明しました。
ただ、消費者庁さんからすると、常に速いわけじゃないだろう、そもそも無線で速いと言い切れるのかと。無線基地局の利用状況にも左右されるので、この表現は根本的にどうなんだと言われました。われわれもご説明はしましたが、ここに関してはずっと平行線で、われわれは「合理的な根拠がなかった」とは思っていません。
―― 当初はサイトに12時台に計測した旨も記載していなかったのですか?
藤田氏 「業界最速」とグラフの2つがあり、「業界最速」には特に何のコメントもありませんでした。消費者庁さんから言わせると、「下のグラフには注釈は書いてあるので分かったけれど、何を持って『業界最速』と言っているんだ」と。
―― グラフの注釈以前に、消費者庁は「業界最速」という言葉に対して説明がなかったことを問題視したと。
藤田氏 ええ。そこを一番大きなフォントで強調したので、目にとまったのだと思います。
グラフと実際の数字が違っていた
―― もう1点、「出典元からの転記に誤記があった」というのはどういうことでしょうか?
藤田氏 われわれの事務所がある新橋で測った結果を、グラフの資料として提出しましたが、「グラフと数字が違うじゃないか」と(消費者庁から)言われました。それで、「あれ?」と思って確認をしたら、本当に間違えていました。
―― ニュースサイトの記事を参考にしたという報道も見ましたが……。
藤田氏 それは消費者庁に「業界最速」の根拠を説明する際に、資料として使ったということです。弊社のWebページに転載したわけではありません。
―― なるほど。ただ、その資料を提出しても、消費者庁には納得してもらえなかった。
藤田氏 ええ。われわれが1位ではなかったときもありましたので。
―― 今は速度のアピールはしていない。
藤田氏 今はしていないですね。満足度でいくつか賞をいただいたので、そちらを出させていただいています。
一部で、タイトルから「何の根拠もなく捏造(ねつぞう)した」と、とらえられかねない報道もありましたが、根拠はあったと思っています。ただ、不服申し立てをするわけではありません。われわれに非がなかったとはとうてい言えないので。全般的に非はあったと。
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