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デンと構えているわけには行かない――担当者に聞くau「新料金プラン」あれこれiPhone向けは「検討中」(1/3 ページ)

最近のITmedia Mobileでは、auの「ピタットプラン」「フラットプラン」に関する記事がよく読まれる。そこで、KDDIの料金プラン担当者に両プランが生まれた経緯をはじめとする料金にまつわるあれこれを聞いてみることにした。

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 KDDIと沖縄セルラー電話は7月14日、「毎月割」がない代わりに月々の料金を抑えられる「auピタットプラン」「auフラットプラン」の提供を開始した。両プランに対するITmedia Mobile読者の関心は高く、7月31日現在も両プランに関連する記事がよく読まれている。

 提供開始から直近3日間の実績では、端末購入を契機として両プランを選択した人が全体の8割程度になり、開始前の週よりもAndroidスマートフォンの売れ行きが4〜5割増えたという。

 一方で、両プランに対しては「本当に安くなるのかイメージが湧きにくい」「なぜテザリング料金を取ろうとするのか」といった疑問の声も少なくない。

 そこで、筆者はKDDIの料金企画の担当者に新プランに関する疑問をぶつけてみることにした。対応してくださったのは、コンシューマーマーケティング2部の多田一国(かずくに)部長と、岡本輝幸料金制度グループリーダーの2人。果たして、どのような話が出てくるのか……?

筆者に付き合ってくださった多田部長(右)と岡本グループリーダー(左)
筆者に付き合ってくださった多田部長(右)と岡本グループリーダー(左)

「格安スマホ」対策としての料金検討は「1年以上前から」

―― 新しい料金プランは、いつごろから検討していたのですか。

多田氏 料金制度担当の岡本(グループリーダー)を中心に、料金については切れ目なく検討をしています。

 サブブランド(自社グループの「UQ mobile」やソフトバンクの「Y!mobile」)や、MVNOのいわゆる「格安スマホ」が台頭してくる中で、「我々(KDDI)がデンと構えていても良いのか?」という観点で本腰を入れて検討し始めたのは、1年以上前からです。

 MVNOの初期段階では「SIMカードだけの契約」が主流で、どちらかというとリテラシーの高い人に(契約者が)限られていて、市場はそれほど大きくありませんでした。

 やがてY!mobileが出てきて、MVNOも端末のセット販売や一部では店舗まで出すようになりました。結果として、スマホへの移行に料金面で積極的ではなかった人たちが「手頃なら」と「流れ」でスマホを買うようになりました。この段階では、弊社は「サブブランドなどでセグメント分けをすれば良い」と思っていました。

 しかし、現在は次の段階に入りつつあります。「スマホを持っているけれど、ハイスペック端末にはこだわりがなく、しょっちゅう買い換える訳でもない」という人が「端末を買うときにだけ割引が付くよりもずっと料金が安い方が良い」と考え始めたのです。このような人たちは比較的年齢が高めで、デモグラフィック(属性)に関わらず格安スマホへの移行を検討する傾向にあります。

 このフェーズに入ると、市場に(「大手キャリア」「MVNOやサブブランド」といった)「切れ目」がなくなります。そこで「auとしても何かを考えなければいけない」ということで、いろいろ検討してきたのです。

割引の「永続」には限界がある 差別化要素は「機種変更」

―― 新料金プランについて、新規契約者や機種変更者が新料金プランを選択した場合に、1年目に限って割引を増額する「ビッグニュースキャンペーン」を実施しています。「なぜ1年限定なのか?」という疑問の声も寄せられそうですが、どうでしょうか。

多田氏 いろいろ検討した結果、このようになりました。

 UQ mobileやY!mobileの「1980円」から始まる料金プランも、契約から1年間に限って月額1000円引きとしています。彼らも安くし続けることには限界があるのです。その点に関しては、我々も同様(永続的な割引の提供は困難)です。

UQ mobileの料金Y!mobileの料金 UQ mobile(左)もY!mobile(右)も、もっとも安くなるのは契約から1年間限り

 ただ、彼らはこれから新規を呼び込むことが重要で「新規だけ」でも良いが、我々は(他社への流出を防ぐ)「守り」も考えなければいけない。そこで一歩踏み込んで、機種変更のユーザーも対象にしました。

iPhoneのキャンペーンは「検討中」

―― ビッグニュースキャンペーンですが、現時点ではiPhoneの新規契約・機種変更が対象外となっています。例えば、キャンペーン適用目当てにiPhoneからAndroidスマホに機種変更する人はいるのでしょうか。

多田氏 「たくさん」ではありませんが、(iPhoneからのキャンペーン目的の機種変更が)「少し」は出ています。

 ただ、我々もiPhoneが「未来永劫(えいごう)対象外」と言っている訳ではありません。田中(孝司社長)も言っていた通り、「something similar(何か似たもの)」を検討しています。

 「今すぐ」というのでなければ、とりあえずプランだけ変更して秋まで待つというのも手です。

―― そのようにした(iPhoneを使っていてプランだけ変えた)人も、それなりにいるのでしょうか。

多田氏 そこそこいます。

―― 「そこそこ」とはどのくらい。

多田氏 そこは非開示なのです。すみません。

岡本氏 端末をAndroidに変えて(キャンペーンを適用)という人はあまりいませんが、iPhoneのままプランだけ変えた人はそれなりにいます。

多田氏 NTTドコモさんの「docomo with」と違うところは、機種(購入)の縛りを設けていないところです。基本的には「分離プラン」なので、端末は何でも良いという前提に立っているからです。当然、iPhoneだけ除外され続けるのも変な話です。

 総務省さんの言葉を借りると「(割引や端末購入補助を)たくさん受けて機種変更を頻繁にしている人と、そうでない人」の差を是正する上で、一定のハードルを設ける必要があるので、7月14日以降に端末を購入した人については、2018年2月からピタットプラン・フラットプランとその他のプランとの行き来を機種購入時以外に行えなくする措置を取ります。

 それ以前に購入した古い端末を使っている(契約上ひも付いている)人については、完全に行き来自由です。ただし、毎月割をすでに適用している人については、新プランに移行する月額料金がむしろ高くなるケースがあります。その場合は慌てずに、毎月割の適用が終わってから新プランに移行すればおトクです。

「iPhone 7(128GB)」の差額
iPhoneのように毎月割が比較的多い機種の場合、新プランに移行すると月額料金がむしろ上がる場合もある。このような場合は、毎月割が終了した段階でのプラン移行がおトクだという
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