「ビジネスよりも安全」「中国企業だからこそプライバシー重視」――中国Huaweiが考える品質のあり方(4/4 ページ)
スマホをはじめとするモバイル通信機器の世界で存在感を高めつつある中国Huawei(華為技術)。同社は「品質」に対してどのような考え方を持っているのだろうか。最高品質責任者に話を聞いた。
“地域性”がある意見も極力反映
―― ユーザーから寄せられる意見には地域性はあるのでしょうか。
馬氏 寄せられた意見については、国・地域別に統計・分析を行って製品の改善につなげています。2つ具体例をご紹介します。
1つはハードウェア面での改善の話です。弊社のとあるスマホはヨーロッパ・米国・日本では「音」に関する高い評価を得ました。しかし、同じ機種を東南アジアのある国に出荷して販売したところ、「音が小さい」という意見が多数寄せられました。
なぜそうなったのか調査したところ、その国の生活環境と関係があることが分かりました。周囲の騒音が大きい環境にあり、受話音量が不十分であることが分かりました。(Huaweiが標準として定める)ヨーロッパ基準では(音量が)足りなかった、ということになります。
そこで、当該国向けに社内基準を改め、受話音量をより大きくすることにしました。
もう1つはソフトウェア面の話です。弊社では新しくリリースする端末について、発売前に主要なサードパーティー製アプリとの互換性試験を必ず実施しています。そのアプリ数は約1000に上ります。
しかし、北東ヨーロッパのある国のユーザーから特定アプリの互換性が良くないという意見が多く寄せられたのです。我々は「頻繁に使われるアプリは試験しているのに……」と不思議に思いましたが、なぜその国で互換性に関する不満が多いのか調査してみることにしました。
すると、その国のスマホユーザーが一番使っている「政府機関の天気予報アプリ」が互換性試験から漏れていることが分かりました。弊社から見ると当該国はユーザー数がそれほど多くないのですが、ユーザーの声を製品に反映する観点から、その天気予報アプリを互換性試験に追加することにしました。こうして、アプリとの互換性試験の精度を高めています。
この試験は北京のR&D拠点で実施しています。広大なラボで、約500台のスマホを同時に稼働させて自動的に試験を行える仕組みを取り入れることで、どの国・地域に出荷されても現地でメジャーなアプリを問題なく使えるように取り組んでいます。
西安にあるR&D拠点では、ハードウェアの互換性試験も実施しています。例えば、ヘッドセット、車載システムといったBluetoothデバイスとの接続性試験を行っています。
サポートは地域事情に合わせて提供
―― 日本では(世界の他地域とは異なり)iPhoneが大人気です。その理由の1つに、Apple Storeや公認サービスプロバイダといったサポート拠点がほぼ全国に行き渡っていることが挙げられます。困った時や修理をしたい時に便利なサポート拠点を拡充しようという計画はないのでしょうか。
馬氏 弊社では、世界中の国・地域で均一なサービスを提供しているわけではありません。ですから、さまざまなルートを通してサービスを提供できるように努めています。
例えば、一部の国・地域では故障した製品を郵送して修理するサービスを提供している。また、一部の国・地域ではリモートサービスも導入している。もちろん、修理や保守サービスを提供する対人窓口を展開している国・地域もあります。
弊社としては、ユーザーが最も利便を感じられるようなサービスの提供方法を検討していきたいと考えています。
ユーザーがもっと簡単に使えるようにスマホの「インテリジェント化」のレベルアップにも取り組んでいます。
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