「2画面スマホは他キャリアにとっても意義がある」ドコモ吉澤社長の囲み取材一問一答(1/2 ページ)
2画面スマートフォン「M Z-01K」の狙いは? 発売されて約1カ月がたつ「iPhone 8/8 Plus」の手応えは? 10月18日の発表会でドコモの吉澤和弘社長が語った。
2017-2018年冬春モデルの中でも特に注目を集めている2画面スマートフォン「M Z-01K」の狙いは? 発売されて約1カ月がたつ「iPhone 8/8 Plus」の手応えは? NTTドコモの吉澤和弘社長が発表会後の囲み取材で語ったので、その一問一答を紹介する。
Mは他キャリアにとっても意義がある
―― なぜ2画面スマホ「M Z-01K」を開発しようと思ったのか。
ドコモ プロダクト部 プロダクト企画担当部長 大平氏 スマートフォンで使われる動画や音楽、書籍などのアプリケーションは、多様でリッチなものになってきている。であれば、普通のスマートフォンより、もっと楽しめるスタイルがあるのではないかと考えた。2画面で大画面であれば、検索しながら動画を見るといった風に使え、恐らくそういうことをユーザーは望んでいるんじゃないかということで開発した。
―― 過去に失敗があるが、当然それを踏まえ、それでも行けるという判断をしたのか。
大平氏 そうだ。
吉澤氏 「MEDIAS W」のことをおっしゃっているのだと思うが、あのときはハード的に見ても、CPUの処理能力はまだ速くなかったし、表示もまだ荒かった。それに対して今回の端末は、非常に狭額縁で、かつ開いたときに真ん中のパネルの切れ目が気にならないくらいになってきた。ハードがある程度良くなったことと、ソフトウェアとしてのマルチウィンドウ機能、マルチタスクで両面にアプリを起動させることができる。要するに自由度が非常に上がった。MEDIAS Wのときは非常に限られていた。
スマホの画面をもっと大きくするという意味では、タブレットとは違って、コンパクトだけど画面を大きくする1つの手法としては大きな期待、みなさんの支持を得られるのではないか。今後も、コンパクトだが画面を大きくするやり方は、まだいろいろ研究できると思っている。さらに研究していく。今回はその“走り”だと見ていただければ。だいぶ良いものができたと思っている。
―― ガラケー時代にメーカーと組んでいろいろな端末を作ってきたが、そのときと比べての違いは何か。そのときは世界進出がうまくいかなかったという歴史があるが、ガラケー時代にうまくいかなかったことへの反省や対応はどう考えているか。
吉澤氏 以前のiモード端末については、ドコモが開発主体になって、開発費用なども出してやってきた経緯がある。スマートフォンになってからは、ドコモが全てやるわけではなく、OSもAndroidあるいはiOSで、特にAndroid系については、それぞれのベンダーさんがいろいろなアイデアに基づいて機能やデザインを作っている。
ただ、ドコモとして自ら、スマートフォンはこういう使い方をしたら面白いという提案をすることは、他のキャリアさんにとっても意義があること。これから出すスマートフォンを同じようなやり方で、開発を全て最初からやるつもりは全くない。特別で先進的な、あるいは少しとがったものをグローバルで、ベンダーさん、あるいは他のオペレーターと協力しながら出していくことは、1つあると思う。
―― KDDIやソフトバンクが採用するという想定はしているか。
吉澤氏 否定する話ではないと思うが、今回のモデルは、(他キャリアが販売するものについては)われわれがロイヤリティーをいただいていくことになっている。折衝する必要があると思うが、そういうスキームが成り立てば、できないことではないと思う。
―― スマートフォンがなかなか売れなくなってきて、ポストスマートフォンとしてウェアラブル端末やスマートスピーカーのようなものを模索する動きがあるが、まだスマホは進化させていきたいという意味か。
吉澤氏 おっしゃる通り。スマホがなくなるということには、多分ならないと思う。形があのままかどうかは分からないが、大きさとしては、今のスマホは究極的に良いものになっていると思う。ただ、それをハブにしていろいろな周辺機器ができてくる。ウェアラブルも今回のApple Watchのように、モデムが追加されたことによって、通話もメールも直接できるようになった。そういう意味では、もっともっと進化していくと思う。
例えばヘルスケアサービスなどと連携すればもっと発展していく。グラス(メガネ)もそう。そういったものが、まだまだ余地としてあると思う。単独で行くのか、スマホがハブになるのか、そこはいろいろな選択肢があるという感じがする。
iPhone 8/8 Plusの感触は?
―― 今回の端末ラインアップにフィーチャーフォンが含まれていないが、この辺で意図しているところはあるのか。
吉澤氏 フィーチャーフォンは、今のP-smartケータイとシャープのAQUOSケータイの2シリーズで、まだ需要やいろいろな要望に対して賄いきれていると思っている。今回の秋冬モデルでは新たなフィーチャーフォンを出していないが、次にどうなるかは検討している。今回はない。
―― iPhone 8/8 Plusが出て1カ月近くたつが、売れ行き、手応えはどうか。また、iPhone Xの発売日がもうすぐだが、実際に調達できるのか。
吉澤氏 iPhone 8/8 Plusについては、「7」と同じ期間で比べると7割前後だと思う。そこまで数は出ていない。要因は、おっしゃるように「X」を待っている人がかなりいるんじゃないかと。とはいいながら、まだ日本にないので「X」は誰も触れない。「7」を超えるのか超えないのかは分からないが、触って比較して、「8」と「X」を足し算することによってかなり(数が)出るのではないかと思っている。
また、例えばiPhoneと同時に「Apple Watch Series 3」が出たが、これは契約している人も結構多いので、Apple Watchもドライブをかけていいと思っている。「X」の調達数は、申し訳ないが分からない。われわれも予約をとって、それなりに発注したいと思っているが、それに対してどれくらい来るのか、あるいは少し品薄になる場合にどのくらいで供給に満足していただけるのか、今の段階では読めない状況。
―― 今回、dポイントを強化しているが、これによってdカード GOLDのメリットが少し弱くなるのではないか。
吉澤氏 dカード GOLDは、(携帯電話料金に付く)10%のポイントはそのままだが、ちょっとそういうところがある。ただ、dカード GOLDを持っている方はカード使用が非常に多いので、プラチナのステージの方が多い。そういった中の特典で、かなり賄えると思っている。私も(dカード GOLDを)持っているが、どうにか我慢できる範囲かなと(笑)。
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