MVNOの成長にブレーキ、サブブランドが勢力拡大 3キャリアに与える影響は?:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
NTTドコモは純増計画を90万回線引き下げた。その原因の1つにサブブランドの勢力拡大にある。一方でKDDIとソフトバンクは、自社グループのサブブランドが台頭することでプラスの影響も。今後は「非通信領域」をどれだけ伸ばせるかが鍵を握る。
大手3社は「大容量プラン」や「非通信領域」を重視
ただしユーザーの流出防止は、ある意味、身を削ることにもなる。先に挙げたように、ソフトバンクの国内通信事業は上期で7%の減益。ドコモも「減益は計画通り。年間の業績予想に対しては順調に推移している」(吉澤氏)としながらも、営業利益は6.3%減の5488億円となった。
対応策として3社に共通するのが、通信料収入を伸ばしつつ、コンテンツやサービスといった非通信領域で頭打ちに備えるという戦略だ。例えば、ドコモのARPUはドコモ光の増加が奏功して、上期には4710円に増加。スマートライフ領域の営業利益については、前年同期比22%増の744億円となった。
非通信領域であるスマートライフも好調だ。中でも、「安心系ソリューションが35%、dTV、DAZN for docomoなどのコンテンツは25%、dカード、dケータイ払いプラスなどの金融決済が20%」(吉澤氏)と比率が高く、この分野の成長をけん引している。
先に挙げたように、ソフトバンクも国内通信事業の営業利益を落としながら、一方で、先行投資としてSoftBank光の拡充や、Yahoo!JAPANとの連携に注力する方針を掲げている。大容量プランも、「昨年からギガモンスターなどの大容量料金プランが、じわじわとヒットしてきている」(宮内氏)。
3社の中では、KDDIのみ、営業利益5425億円と、前年同期比でプラスになっているが、これも大容量プランの比率や、付加価値ARPAが上昇したため。付加価値ARPAの伸びに関しては、「ドライバーはauスマートパス、auスマートパスプレミアムを中心としたパッケージプログラム」(田中氏)だという。
田中氏は、「中経(中期経営計画)の折り返し地点を過ぎたところだが、通信からライフデザインに向かう中、一定の道筋は確保できたと思っている」と現状を総括したが、ドコモやソフトバンクも、大枠では同じような状況といえるだろう。大手キャリアは、非通信領域をどこまで伸ばしていけるかが、今後の成長を占ううえで重要な鍵になっているというわけだ。
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