萌えゲームが迎えた「曲がり角」(2/2 ページ)
高野氏は、あるアニメ制作中に監督が漏らした言葉を引用する。「最近の視聴者は、30分のアニメ全体でなくシーン単位で見る」。あのシーンの、どのカットが良かった……などと批評されるという。ユーザーはストーリー性より、キャラの立ち居振る舞い、特徴にばかりこだわるようになった。
これに、ゲームメーカーの制作事情が加わる。「萌えゲーは、5万本売れれば大ヒット。大抵は、1万本程度で成立する作りになっている。メーカーはコストを抑えるため、システムなどに費用をかけるのでなく、キャラの特徴のみでほかの作品と差別化を目指す」(同)。
これらの相乗効果により、キャラの特徴は極端なまでに先鋭化する。特殊なキャラはいずれ、マニアにしか意味が分からない「記号」になってしまうだろうという。
「これでは新規ユーザーが入ってこない。既存ユーザーは94%が男性、6%が女性だが、男性はやがて家庭を持ったり、『足を洗ったり』してゲームをしなくなる」。ついには、ゲーム業界の“少子高齢化”が始まるという。
次のトレンドを探して
萌えゲー業界は、どうすべきなのか。高野氏は、今こそベタなアドベンチャーゲームシステムから脱皮し、ゲームデザインにこだわるべきだと説く。
高野氏はやや宣伝めくと断りつつ、いま同氏が編集長を務める「電撃G'sマガジン」が手がけている作品「双恋-フタコイ-」を紹介する。同ゲームでは、キャラクターは「現実に隣やクラスにいそうな子」をイメージして作られているという。
「デザイナーには、『もっと普通に、ディテールを削って』とお願いしている。通常と逆だ」
一方で、システム開発には普通のゲームの2倍ほどのコストをかけている。「これは、採算を考えるとできないこと。数万本のヒットでなければ、ちょっとまずい」(笑)。
双恋-フタコイ-では、TVアニメ化も予定されている。高野氏はこれにより、テレビを巨大な広告塔として使いたいと話す。「古典的ラブコメという王道に戻り、アニメ層を取り込む。これにより10歳代の開拓を目指す」とした。
萌えゲーを作るとき、何に気をつけるべきなのか。高野氏は、最終的には「客のメリットを考える」ことだと強調する。「ヒロインのセリフで一喜一憂したり、いい気持ちになる。そういうゲームなのかどうか」
萌えゲーの中には、“ヒロインが男だった”“処女でなかった”などと大胆な新規性を打ち出し、ユーザー間での議論を巻き起こすものもある。高野氏は「世間のドギモを抜くようなものをやりたい」という誘惑にかられることはあるとしつつ、「しかし、ユーザーをいい気持ちにさせることが最優先」と話す。奇抜さを追いかけるあまり、本末転倒になるようなことは避けるべきだと主張した。
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