ヤフー井上社長に聞く
「『健全な場』が最後に勝つ」「ケータイはPC超える」「Androidはうさん臭い」(1/4 ページ)
国内ポータルとして圧倒的ナンバーワンの座を堅持するYahoo!JAPAN。ページビュー(PV)は世界一を誇り、財務的な業績も好調だ。だが「Web2.0的」と呼ばれるユーザー参加型サービスの展開は遅く、「ソーシャルメディア」への転換を打ち出したのは2005年になってから。その後はサービスのCGM(Consumer Generated Media)化を急いできたが、遅れを取り戻せないでいるように見える。
例えばSNS「Yahoo!Days」(当初は「Yahoo!360」)はmixi開設の約2年後、2006年春にオープン。動画投稿サイト「Yahoo!ビデオキャスト」は、YouTubeが日本でブームになり始めた1年後・今年4月になって開設した。ソーシャルニュース「Yahoo!みんなのトピックス」は昨年11月、ソーシャルブックマークは今年4月に開設。「はてなブックマーク」開始から約2年経っている。
そのせいもあってか、Yahoo!Daysの利用は先行するmixiに遠く及ばず、Yahoo!ビデオキャストは「ニコニコ動画」ほどは盛り上がらない。「みんなのトピックス」は「はてなブックマーク」ほどの人気を集められない。
携帯サービスでも同様だ。「Yahoo!モバイル」は一般向けポータルとしては強いが、総ページビューでは「モバゲータウン」や「mixiモバイル」に大きな差を付けられている。Googleがオープンプラットフォーム「Android」を発表するなど、他社の動きも激しい。
ヤフーは「ソーシャルメディア化」の現状をどうとらえ、どこに進もうとしているのだろうか。今後のビジネス展開は――井上雅博社長に聞いた。
―― ヤフーの目指す「ソーシャルメディア」とは何か。
ネットの使われ方が変わってきたという前提がある。ヤフーは従来、「ヘッドコンテンツ」を集めてきて利用者に再配信するという形でやってきたが、情報は必ずしもヘッドコンテンツだけではなく、利用者から発信されたもの、CGMと呼ばれるようなものをほかの利用者がさらに便利に使えるようにする――といった形に、大きな枠で言うと変わっていくと思う。
だから今までとは違うメディアの形を作っていこうと。例えば「Yahoo!自動車」や「Yahoo!グルメ」は、今までは情報を集めて利用者には見てもらう、というのが基本的な形だった。そこに口コミ情報を加えていけば「他の人が行ってみた感じでどうだったのか」というのを含めて、1つの情報として見ていける。Yahoo!の全サービスをこういう形に変えていこうという。
―― なぜそのように変える必要があるのか。何か危機感があるのか。
いや、危機感があったり、ネガティブな感じの進め方ではない。そうあるべきではないか、その方が便利なのではと思う。
利用者が情報発信するサービスは従来もそれなりにやっていたが、全部のサービスでやっていた訳ではなく、あっても独立させていた。例えば「Yahoo!掲示板」には自動車についての掲示板があるが、「Yahoo!自動車」とは分けていた――など。サービスとして一体になっていなかった。
ネットはまだ、きれいになっていない
―― 以前、CGMは広告主の悪口が書かれる恐れもあり、広告主から嫌われるから積極的に展開していなかった、と話していた(関連記事参照)。
いや、そういう訳でもない。最終的には、社会的な淘汰がネットにもちゃんと来て、CGMのクオリティも成熟してくるんだと思う。CGMには、悪いやつもいれば“おイタ”するやつもいる。そういうやつはリアルの世界にもいるのだが、社会的に淘汰をされるので数としては少なくなっている。でもゼロにはならない。
インターネットも同じことが起きると思うが、まだ成熟度が低いので、リアルの世界に比べるときれいにはなっていない状況だと思う。今後10年、20年やっていくと、だんだんよくなっていくのではないか。システムを作ったり人間がかかわったりしてクオリティを上げる努力は別途やっていく。
―― 動画投稿サービスを例に取ると、YouTubeやニコニコ動画は、何でもありのカオス状態が大ヒットにつながった。それに対して「Yahoo!ビデオキャスト」は、盛り上がっていないように見える。ネットでユーザーを集めるためにはまず「ぐちゃぐちゃのカオス」を作る必要があるようにも思えるが。
Yahoo!のサービスはぐちゃぐちゃにしないようにしている。そのために利用者が少ないのであれば、しょうがない。2ちゃんねる(2ch)とYahoo!掲示板を比べると、2chは何でもあってカオス状態だが、Yahoo!掲示板はそれと比べればきれい。動画でも同様だろう。
ぐちゃぐちゃだと「訳が分からないけど面白いから」と人が集まるかもしれないけれど、ヤフーとしてはそうでないほうに行きましょう、ということ。きれいにする努力を、裏側で一生懸命やっている。
―― YouTubeやニコニコ動画は著作権侵害ギリギリのサービスかもしれないが、新しい何かが生まれている感じを受けている。例えば、昨日放映されたばかりのテレビ番組の一部がYouTubeにアップされ、みんなでそれを翌日見て盛り上がる――といった、これまでになかった文化が生まれている。
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