「宮崎駿は実は携帯電話を持っている」──ジブリが「禁じ手」だったネットでキャンペーンをする理由(1/2 ページ)
KDDIは6月22日、スタジオジブリのアニメーション映画最新作「コクリコ坂から」(7月16日公開)とタイアップしたキャンペーンを展開すると発表した。au携帯電話向け限定コンテンツの配信や、映画の舞台となる横浜市と協力したスタンプラリーなどを7月から2カ月間展開していく。
スタジオジブリ作品でネットを活用した本格的なキャンペーンを実施するのは初めて。「インターネットや携帯からは距離を置いていると思われている」というスタジオジブリがネット展開に踏み切った理由について、鈴木敏夫プロデューサーが都内の発表会で語った。
「コクリコ坂から」は1980年に「なかよし」(講談社)に連載された高橋千鶴(原作は佐山哲郎)による少女漫画を原作としたアニメーション映画。宮崎吾朗監督が「ゲド戦記」以来のメガホンをとり、主人公の「小松崎海」は長澤まさみさん、「風間俊」は岡田准一さんが演じる。
鈴木プロデューサー「最初に『ネットを使わないでできませんか』と言った」
KDDIとなぜタイアップすることになったのか、きのうから考えているのですが、思い出せなくて困っています。記憶をたぐり寄せていくと、博報堂(博報堂DYメディアパートナーズ)という会社に「ポニョ」(の主題歌)を歌った藤巻さん(藤岡藤巻の藤巻直哉さん)がいて、去年の秋だったが、タイアップ先をもってきてくれたが、藤巻さんが持ってきたのはKDDIじゃなくて某食品会社だった。
藤巻さんは仕事なので、タイアップを決めなきゃならない、なんとか決めようという魂胆が見え見えだったんですよ。このまま乗るとこの映画は成功しないなと思って、その時ふと、KDDIの高橋さん(高橋誠専務)の顔が浮かんだんですよ、なんでかなあと。高橋さんは東京都現代美術館の(ジブリ展)で講演してくれたり、いろいろ協力していただいた。
高橋さんとは数回お会いしたんですが、わたしは名前を覚えるのが苦手で、昨年7月~10月に同美術館で開かれた「アリエッティ」展の時、現代美術館で、高橋さんから「そろそろ覚えてください」ってね、その時は鋭い目で、ぼくをにらんでね、印象に残った。
ジブリはネットや携帯など距離置いてるって思われてるけれど、食品会社の話を聞いた時に、思い浮かんで、あの人とならうまくできるかもしれないと思ったんですよ。
早速打ち合わせということになり、高橋さん、雨宮さん(KDDIの雨宮俊武新規ビジネス推進本部長)とも一緒にどういうタイアップやってこうかと。
最初にこういったの覚えています。「ネットを使わないでタイアップできませんか」
急に高橋さんと雨宮さんの顔が曇った……それやらないでどうするの、という顔をしたのを覚えてます。わたしもインターネットを使ってますが、宮崎駿が距離を、ジブリが距離を置いてきた。どういう距離でタイアップ・宣伝をやってったらいいのかと。
ふと、僕はキャッチコピーみたいなのを思いつくんですが、自分のもやもやを思いついたんですね、で、思わず言ってみました。
「ケータイのない時代、みんな幸せだった」
──って言ったら、博報堂の藤巻さんも全員が一瞬沈黙だったんですが、空気破ったのは藤巻さんだった。「いいですねー」。高橋さんと雨宮さんは眉間にしわが寄りました。思わず藤巻さんに「あなたどの立場で発言してるんですか」と聞いたら、「だっていいですよ」って。正しいこと言うんですよ、藤巻さんて。
高橋さんが会合の最後に、つい最近屋久島へ友達と一緒に旅行に行ったんですよという話をしました。なんでそんな話をするのかなと思ったんですが、「携帯がつながらないんですよ」ってうれしそうな顔をしまして、その時、携帯会社のトップもこういうことを言うんだと、タイアップをやって正解だなと、禁じ手だったネットをジブリとしても本格的にやってみようと。
そういう時の決断も人が介在するんだと思ったのでそんな話をしました。誰かが呼ぶんですよ、人を。
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