iPhoneアプリで食べていく――「ぐんまのやぼう」ができるまで(2/3 ページ)
有料版より「無料+広告」
ちょうど、無料アプリに広告を配信できるサービスの日本語版が出始めたころ。試しに「i大富豪LITE」に広告を載せたところ、1日当たりの広告収入が有料版の売り上げを超えた。ほかの無料アプリにも広告を載せてみると、長期的には有料版の販売金額より良い数字が出た。
有料アプリの場合、購入時に収益が発生するが、その後のアップデートは無料のため、長期的にメンテナンスするほど割に合わなくなってしまう。一方、無料+広告のアプリは、広告をクリックした際に収益が発生するため、ダウンロードした後遊び続けてもらうほどもうかる仕組み。アップデートを続けるメリットも出てくる。RucKyGAMESさんは現在、ほとんどのアプリを無料で作り、広告を入れている。
リリース済みの無料ゲームに別のミニゲームを追加したり、自作のゲームを宣伝するページへのリンクを加えるなど、アプリの起動率やダウンロード数を上げるべく、さまざまな工夫を続けている。「実験できることは、いろいろやってみています。コストがかからないので」
会社を辞めるのは「怖かった」
iPhoneアプリだけで何とか食べていけるめどが立ち、10年3月末、勤めていた会社を辞めた。会社がiPhoneアプリ開発に参入することが決まり、自分の副業とかぶってしまうことを恐れたという。辞めるのは「怖かった」が、働かなくても1~2年は食べていける貯金があったので腹をくくった。
「会社で作っているものを、自分個人でリリースしたくなったら嫌だなぁ、と。会社は有料アプリを出すつもりでしたが、自分の経験から、有料アプリは企業規模だとペイしないって分かっていたし。会社の人からは、逃げたと言われますが……」
ニート……もといフリーランスになった今は、会社員時代よりハイペースでアプリを作れるように……と思いきや、そうでもないらしい。「会社を辞める前の方が頑張ってました。仕事終わりの短い時間や休日に集中して頑張るという感じで。今は時間が自由なのでその分ぼんやりして時間が無駄に過ぎています……」
リリースしたアプリは110本、総DL600万 1割のゲームが収益の9割稼ぐ
退職後も「1カ月に最低1本」のルールは守り、1カ月に1~5本程度、作り続けている。iPhoneだけでなくiPadアプリも作っているほか、今年からAndroidアプリ開発を学び、Androidアプリも出し始めた。
アイデアを思いつくと、熱が冷めないうちにすぐ作る。これまでにiPhone/iPadで約90本、Androidで約20本リリース。全アプリ合計で600万ダウンロードされた。当たり外れが激しく、大ヒットするものは100万を超えるが、ダメだと100ほどしか出ないことも。収益の9割を、1割のゲームが稼ぎ出しているという。
RucKyGAMESさんのアプリは、「i七並べ」のような定番のカード・パズルゲームと、「i刺身」のようなネタゲームに大別できる。「仕事したくない」という思いを込め、テンポよく「ヤダ」(嫌だ)ボタンを押すだけのゲーム「ヤダヤダ」、“長く伸びるもの”同士を戦わせようと作ったゲーム「リーゼント vs トロンボーン」、数字を順番にタッチするゲーム「Touch the Numbers」に触発されて作った、徳川家初代~15代将軍を順番にタッチするゲーム「Touch the 徳川」、長ぐつなど魚“以外”のものを釣り、魚と交換する釣りゲーム「Freedom Fishing」(略してFF)、ひよこのオスとメスをひたすら鑑別する「iヒナ マツリ」……ネタ系ゲームに個性が光る。
他社とのコラボレーションの話も来るようになった。ハドソンから声がかかったときは「本当にびっくりした」。ハドソンとのコラボ作品「僕とちくわと鉄アレイ」は、ちくわと鉄アレイが出てくるハドソンの名作ゲームから発想した、ちくわを飛ばして鉄アレイにはめるゲームだ。「よく製作にOKが出たなという感じです。却下されると思ってました、ほんとに」
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